菅直人氏は明白な左翼の政治家だったのに、いまでは左翼エレメントをすべて消そうとしています。表面ではそうみえます。しかし表には出ない菅氏の思想とはなんなのでしょうか。
菅氏自身は6月11日の国会での所信表明演説で、思想上の「恩師」として、松下圭一、永井陽之助両氏の名前をあげました。その点を田久保忠衛氏が「菅氏の思想はやはり左翼なのだ」として鋭く分析しました。すでにこのブログで紹介したとおりです。
菅氏が信奉したという松下圭一氏は国家主権よりも「地方主権」を重視するという考えの持ち主だった、とのことです。では菅氏のもう一人の「恩師」永井陽之助氏はどうだったのか。田久保氏の指摘では、これまた左翼的傾向の強い学者だったようです。
ではまず田久保氏の小論文の残りを紹介します。
「永井陽之助氏が1967年に出した『平和の代償』を勉強したと菅氏は所信表明演説で述べた。非武装中立論が大手を振ってまかり通っていた時に永井氏が説いたのは、詰まるところ日米同盟を有事駐留に切り替えていく提案だった。
これが当時の『現実主義者』の本音だから、何をかいわんやだ。永井氏は、日本は軽武装で経済大国になればよい、と『吉田ドクトリン』なる造語を唱えた。吉田茂が夢想だにしなかった日本の戦後の体質を、この名称で世に広めた。
松下氏は永井氏を尊敬するのは人の自由だから、文句を言うつもりはない。今、われわれの目前に存在するのは、国内総生産(GDP)で日本を追い越し、軍事大国化に邁進している中国だ。
日本はどう対応するのか。松下、永井理論の信奉者が、それも国旗国歌法案に反対した人物が、陸海空3自衛隊の最高指揮監督権を持つ首相の座に就いていいのか。疑問はこの一点だ」
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以上の田久保論文の記述から明白なのは、菅首相の恩師は日米同盟について「駐留なき安保」を主張していたということです。「駐留なき安保」は鳩山由紀夫前首相も以前に唱えたことがあります。
永井陽之助氏は「吉田ドクトリン」という虚構の造語を作った人物だともいうのです。日本は安全保障は最小限にして、もっぱら経済に専念すべきだという思考が永井氏の作った「吉田ドクトリン」の内容です。しかし当の吉田茂氏はそんなことは望んでも、主張してもいなかった、というのです。
とにかく菅直人氏は「駐留なき日米安保」を主張した学者を恩師として仰いでいる、ということです。日米同盟に関して、米軍を日本に駐留させす、日本側が勝手に求める「有事」の際にのみ、米軍に出動してもらうという「駐留なき安保」は実効性がなく、実際には日米安保破壊につながる危険な提案です。
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5894 菅直人氏の危険な安全保障思考 古森義久
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