民主惨敗という参院選の結果が出たが、政局はすでに始まっている。とはいうもの野党の自民党、公明党、みんなの党は仕掛けていない。民主党の中で党内政局が起こるとみているからである。小沢一郎氏がどう動くか、それを注目している。
菅首相、仙谷官房長官、枝野幹事長らは厳しい選挙になると覚悟していただろうが、まさか44議席に転落するとは夢にも思っていなかっただろう。敗戦後は、枝野幹事長は首相続投を支持し、菅首相は枝野幹事長ら執行部の留任を早々と打ち出した。身内で傷をなめ合った観がある。
最近では参院が政局のキイになってきた。衆院で300議席を確保していても、参院で過半数を持たなくては法案が通らない。自民党の福田政権、麻生政権が短命で終わったのも、参院で少数与党だったから、野党の民主党に揺さぶられた結果といえよう。菅政権は同じ危機に曝されている。
むしろ衆院でほどほどに勝ち、参院では過半数を維持し続けるのが長期政権の”要諦”なのである。政権維持のために参院は、極めて重要なポジションになっている。もはや参院は”盲腸”でもなければ、”無用の長物”でもなくなった。
だから参院選で予想もできない惨敗を喫したのは、菅政権にとって致命的な打撃となった。
自民党の支持者にすれば、参院選で51議席をとり、改選第一党に踊りでたのだから、勢いに乗って参院議長は自民党が占め、議院運営委員長も自民党で取りたいところであろう。しかし参院は半数改選の選挙である。非改選の民主党議席は62,国民新党は3,新党日本は1。非改選を加えれば民主党は62+44=106議席。自民党は35+51=86議席で、民主党が参院第一党であることには変わりない。
さりながら国民新党と新党日本を加えても与党は参院過半数の122議席には遠く及ばない。みんなの党10議席を加えても106+10+3+1=120議席だから、参院過半数には達しない。みんなの党だって苦境に立つ民主党に手を差し伸べる義理はないことになる。
江田参院議長も野党に配慮した議会運営をせざるを得ない。少数与党に偏った議会運営をすれば、議長問責決議が可決されてしまう。自民党はここで短兵急に仕掛けずに、じっくり越を据えて民主党の党内政局を待つことになる。狙いは早期解散で雌雄を決することであろう。
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5901 苦境に立った菅政権 古沢襄
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コメント
今回の民主党の大惨敗は、菅政権にとっては、致命的です。
恐らく、早晩、解散総選挙に追いやられるでしょう。