参院選後の政界は単なる”衆参ねじれ”でない。衆院で300議席以上を擁する民主党だが、三分の二以上の議席には達していないから、参院で法案が野党によって否決されれば、すべての法案が葬られる。自民党政権の時代には、三分の二以上の議席を持っていたから、参院で法案を否決されても、衆院で再議決して成立させることが可能であった。
自民党政権下の”衆参ねじれ”とは比較にならない深刻な危機的状態に菅政権は曝されている。何もしないでいれば、”死に体”内閣になって政権を放り出さざるを得なくなる。
それを回避するためには、民主党を中心とした新たな連立工作が必要になる。味方の政党を作って、危機を乗り切る工作である。水面下で腹の探り合いが行われているが、菅首相の周辺は公明党やみんなの党を仲間に引き入れるつもりでいる、しかしこの両党とも落ち目の菅首相に手をかす気配がみえない。
小沢前幹事長は選挙の直前から雲隠れしてしまって、八丈島あたりで釣り三昧という噂もあるが、そうではあるまい。小沢氏は安定した政権運営には民主・自民の大連立が必要だと考えている。
小沢氏とは囲碁仲間で親しい与謝野馨氏(たちあがれ日本共同代表)が示唆的な発言をしている。「民主、自民両党が連立を組むのが一番いい。民主は10人程度の少数政党に頼って振り回されてはいけない」・・・つまりは、公明党やみんなの党を仲間に引き入れようとする菅さん流ではダメだと言っているわけである。
与謝野氏は「みんなの党のようにデマゴーグの典型みたいな政党と組むと、国民が不幸だ。自民党は常識の党だ」と強調している。たちあがれ日本が民主党と自民党の接着剤になるという意思表示とみる。
平沼さんのたちあがれ日本と、桝添さんの新党改革が、参院で統一会派を結成することで基本合意に達した。これで会派勢力は5人となり、参院本会議で代表質問ができるとメデイアが報じているが、狙いは接着剤になる足固めであろう。
連立工作でも菅流と小沢流の違いが出ている。そこにもってきて、自民党政権の様に衆院で三分の二以上の議席を占める工作をしているのが国民新党の亀井静香さん。普天間移設で連立を解消した社民党と復縁すれば、衆院で三分の二以上の再議決が可能になる。
といって逃げた嫁さんに民主党家に戻ってくれと頼み込んでも一蹴されるのは目にみえている。そこでとりあえずは国民新党と社民党で統一会派を作ろうと亀井さんは福嶋さんに持ちかけた。郵政民営化の見直し法案を通して、さらには民主党に恩を売る一石二鳥の策だが、果たして社民党が乗ってくるか、どうか。各党がそれぞれの思惑を秘めながら永田町の夜は更けていく。
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