5955 激動の極東アジア情勢から隔離された日本の危うさ 古沢襄

この国の形はどうなっているのだろうか。韓国を訪問したゲーツ米国防長官とクリントン米国務長官は、ソウルで韓国の柳明桓外交通商部長官、金泰栄国防部長官とツウ・プラス・ツウの首脳会議を開いたが、往きも帰りも東京を素通り。旧知の外務官僚は「日本は完全に無視されている」と嘆いた。
その頃、長野県軽井沢町では来日した金賢姫(キム・ヒョンヒ)元死刑囚が鳩山前首相の別荘で北朝鮮による拉致被害者の横田めぐみさんの両親らと会見して、別荘前に集まった取材陣でごったがえす大騒ぎ。高齢の横田滋さん(77)と早紀江さん(74)のご夫妻は「特別新しいものは出てきませんでした」。
ソウルではクリントン長官が「(国務省不拡散および軍縮担当)特別補佐官のロバート・アインホーンがすぐここ(韓国)に来て制裁措置施行を協議する」と重要発言をし、6カ国協議再開問題については「いまは北朝鮮に非核化の兆しが見られない」と否定的な見解を表明している。日本は6カ国協議のメンバー国である。
クリントン発言に呼応する様にワシントンでは、国家情報長官に指名されたジェームズ・クラッパー国防次官(情報担当)が20日、今年3月の韓国哨戒艦沈没事件について、北朝鮮が韓国を直接攻撃する「危険な時期」が始まる予兆だとの見方を示した。ワシントンから英ロイターが報じている。
ソウルとワシントンで米高官の重要発言が飛び交う中で、日本は金賢姫元死刑囚の話題で一色。菅民主党政権は激動の兆しがみえる極東アジア情勢から隔離されている。
<[ワシントン 20日 ロイター] オバマ米政権の国家情報長官に指名されたジェームズ・クラッパー国防次官(情報担当)は20日、今年3月の韓国哨戒艦沈没事件について、北朝鮮が韓国を直接攻撃する「危険な時期」が始まる予兆だとの見方を示した。上院情報委員会の指名公聴会に提出した書面で述べた。
 退役空軍中将のクラッパー次官は、1980年代の朝鮮半島情勢が緊迫化した当時に在韓米軍などで勤務していた経験があり、情報畑での経験も豊富。韓国に亡命した黄長ヨプ元朝鮮労働党書記の暗殺未遂事件など、北朝鮮の最近の一連の行動は、1987年の大韓航空機爆破事件を連想させるとしている。
 46人の犠牲者を出した哨戒艦沈没事件については、「われわれ情報機関にとって最も重要な教訓は、北朝鮮が韓国への直接的な攻撃を通じ、内外の政治的目標に向けて進もうとする危険な新しい時期に再び入ったかもしれないと理解することだ」と指摘。北朝鮮の軍事力は依然として「軽視できない脅威」との認識を示した。(ロイター)>
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