少しお時間と根気のある方は、杜父魚ブログの「全記事・索引リスト」という過去記事のタイトルの一覧表を読んでほしい。ことし一月の時点で鳩山前首相の退陣を予測する人はいなかった。米国からルーピー・ハトヤマと言われようが、「トラスト・ミイ」で政局を乗り切るつもりのハトヤマさん。
新聞記事もテレビ解説も先見性のある予測は無かったまま正月を迎えている。今も同じだ。ダッチロールの菅首相を揶揄する論評はあるが、二ヶ月首相で退陣するとは断定できないでいる。
一月二日に花岡信昭さんが「現実味増すか、鳩山首相の退陣」を書いている。杜父魚ブログ4733号。<<鳩山政権は発足から100日余りで新しい年を迎えた。総選挙圧勝を背景に発足当時は70%前後の支持率を誇ったが、このところ低下傾向が著しく、50%を割り込む調査結果も出ている。政治の世界の展開は予想を上回るスピードで変化することがままある。新年の政局展望は、鳩山首相の退陣が現実に起きるのかどうかを見極めることが主軸になりそうだ。>>
だが一月三日に岩見隆夫さんが「鳩山短命説は早すぎる」を書いた。4735号。<<<正直で内証事のできぬ人間の点は鳩山もそうで、一族のDNAと思われる。鳩山短命説は早すぎるのではないか。>>
岩見隆夫さんは、まだ鳩山政権に見切りをつけていない。
私は「官邸入りで支えるつもりだった藤井財務相」を一月六日に書いた。4750号。<<三ヶ月前と今では鳩山政権をめぐる情勢が大きく変わっている。もし菅副総理・財務相となれば、藤井氏が首相補佐官になっても発言力はなくなる。藤井氏も今となっては、官邸入りを望むか、どうか?さて、鳩山首相はこの難問をどう解くのであろうか。結局は小沢頼みになるしかないように思っている。>>
岩見隆夫さんと同じ様に鳩山短命説は早すぎると分析していた。花岡信昭さんも「鳩山首相の退陣が現実に起きるのかどうかを見極めることが主軸になりそうだ」と言っている。
小沢頼みの鳩山政権に衝撃が走る。東京地検特捜部が小沢秘書だった石川知裕衆院議員を逮捕した。私が「鳩山政権最大の危機、小沢幹事長辞任をの声」を書いたのは一月十六日、4813号であった。<<鳩山政権は最大の危機を迎えたと言っていい。平野官房長官は記者団に「状況が分からないので、推移を見守るしかない」と言葉少なく語るだけであった。>>
同じ日に岩見隆夫さんは「小沢恐怖症を考える」を書いている。4814号。<<正月早々、政界は寒波に見舞われたようなものだ。小沢ショックである。改革の先陣に立つはずなのに、民主党の小沢一郎幹事長は自ら道をふさいでいる。>>
私は続報で「小沢幹事長は検察と全面対決」4813号。<<民主党の小沢一郎幹事長は16日の党大会で、自身の資金管理団体「陸山会」の土地購入を巡り、政治資金規正法違反容疑で元秘書の石川知裕衆院議員らが逮捕されたことに関して「到底容認できない。断固としてとして戦っていく決意だ」と述べた。また新党大地の鈴木宗男代表は、来賓のあいさつで「検察の暴走がいけないと私は考えております」と東京地検の強制捜査や石川知裕衆院議員の逮捕を批判した。>>
海外から古森義久さんが「小沢、鳩山はなにと戦うのか」と痛烈な批判記事を書いている。一月十七日、4817号。少し長くなるが、優れた分析・批判記事なので、あらためて掲載する。
<<民主党の小沢一郎幹事長をめぐる不正容疑事件は側近の逮捕により急展開をみせました。小沢氏自身、そして鳩山首相のこの刑事事件の展開に対する態度はきわめておもしろいとえいます。
小沢氏は記載のミスが法律に違反した可能性を認めながらも、石川知裕衆議院議員ら側近3人の逮捕に対しては、不当だとして「断固、戦う」と述べています。
鳩山首相は小沢氏のこの言葉を受けて「戦ってください」と述べました。「小沢氏を信じている」「潔白を説明してください」とも語りました。小沢氏は全面的に無実だという前提です。
しかし小沢氏、鳩山氏ともに一体なにと「戦う」というのでしょう。普通に考えれば、検察当局です。ということは司法当局と戦うというのです。
かりにも鳩山首相は行政府の長です。その長が日本の司法と戦うというのです。司法そのものが間違っているという前提でしょう。
小沢氏も同様です。司法の任意取調べの要請にも応じず、司法の措置はまったく間違いだと断ずるのです。小沢氏は民主党の幹事長、つまりは立法府の幹部です。>>
以下は見出しだけにする。「民主党大会は民青の集会だった 西村眞悟 一月十八日 4825号」「検察と全面対決した政権はない 花岡信昭 一月十八日 4826号」「内閣支持率が急落したのはマスコミの責任だと クライン孝子 一月十八日 4828号」「民主党政権を主導する小沢一郎氏 矛盾に満ちた変節を疑う 桜井よしこ 一月二十一日 4849号」「法治を否定する今ある全体主義的空気 西村眞悟 一月二十一日 4848号」「もうもたない? 小沢幹事長 石岡荘十 一月二十五日 4865号」「鳩山忌避を始めた米政権 渡部亮次郎 一月二十六日 4880号」
かくして私は一月二十九日に「鳩山首相の五月退陣説 4894号」を書いた。<<すでに民主党内でも鳩山首相の五月退陣説が囁かれるようになった。内閣支持率が下げ止まる気配がない。30%台に落ち込めば、鳩山首相の看板で参院選を戦うのは不利という議員心理が働く。菅首相の看板で参院選に臨んだ方が、戦い安いというが候補者たちの共通心理なのではないか。
ちょうど麻生政権末期の自民党に似ている。麻生首相の下では選挙に勝てないという党内の動きがあったが、麻生首相は「自分に代わる自民党総裁はいない」とハネつけて選挙戦に突入した。
鳩山首相の場合は菅直人氏ら後継の首相候補がいる。内閣支持率が40%を切れば「自分に代わる民主党代表はいない」とハネつけるわけにはいかない。>>
杜父魚ブログは「文庫形式で時評を収録してあります。保存を目的にした文庫ブログですから、収録した記事の検索には特に心を配っております。様々な”検索の仕掛け”を施してありますから、ご利用下さい」とうたってある。
激動の一月政局を「過去記事のタイトルの一覧表」で見出しだけで読んでみるのもおもしろい。
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