<「このままでは民主党が分裂する」。連合の古賀伸明会長は27日、9月の民主党代表選に立候補する菅直人首相と小沢一郎前幹事長に直接、対決回避を促した。最大の支持母体として党内二分の様相を懸念しての仲裁だが、両氏の歩み寄りはなかった。
古賀氏は菅首相に電話し、「一致結束した体制を築けないか」と要請。首相は「その通りだ」と答えたという。
続いて、連合を訪れた小沢氏にも同じように働きかけたが、小沢氏は「そう思っていたが、(首相に)そういう意思がないということなので」とさらり。古賀氏は首相との電話のやり取りも伝えたが、それ以上の議論にはならなかった。
その後、古賀氏は記者団に「2人がガチンコで戦えば我々の組織も二つに割れかねない。両氏の対決をやめられないか。話し合いの余地は残っている」と語った。> Asahi Com 2010年8月28日0時53分
これはさして重要なニュースでは無い、連合会長の仲裁ならず。だが、ここに選挙戦における小沢と菅の巧拙が現れている。連合に対して小澤は態々足を運んで礼を尽くしたのに、菅は電話で済ませたのではなく、相手に電話をかけさせた。ここに大きな差が出る。
しかも小澤は菅の腹の内を改めて古賀の口から確かめた。小澤はここだけでも一歩も二歩も先んじた。小澤は喧嘩の仕方と納め方を角栄に習った。角栄の漁業は一本釣り、菅の選挙はムード頼りの大謀網である。大謀網は絞って見なければ魚が入っているか、いないか分からない。しかし一本釣りは成果が確実に分かる。
インテリは得てして選挙は下手だ。角栄とオレを比べればオレのほうが頭がいいから、オレのほうが勝つのは当然と威張ってばかりいて、当然の如く敗れた福田赳夫。1972年の「角福戦争」。
福田は大平正芳との総裁選挙でも手胡坐を組んだまま運動をせず敗れた。オレは現職の総理総裁、大平よりオレのほうが人気があると動かなかった。
対する大平も余り動かなかった。元々福田は任期2年を終えたらワシに総理の椅子を譲ると紙に書いて誓約したから、立候補すら約束違反だとの「理屈」があった。
しかし盟友角栄はそんなものを信じるほどヤワな男ではなかった。後藤田カミソリを参謀長に据え、抱える田中派の全秘書を都内に放つローラー作戦を展開。あっという間に大平勝利をものにした。
福田は「天の声にもたまには変な声がある」と迷文句を吐いて舞台を去った。私はこのとき福田内閣で園田直外務大臣の秘書官。福田・大平の密約を知っていたから、大平と同じ心境だった。
小澤は「選挙はすべてドブ板選挙」と決めている。一本釣りもやればローラー作戦もやる。菅のように魚を待つように票を待たない。捕りに行くのだ。カネの使い方も最も効果的な方法を角栄から伝授され、自ら磨いて今日がある。
対するに菅は東京でムード選挙ばかりやってきたから、積み重ねるような票の取り方を知らない。経験が無い。大謀網を張って待っているだけだ。網の目の大小にも気を配らない。
嘗ての角福戦争を取材したり、大福40日抗争を目の当たりにした経験を振り返ると菅の選挙下手が目立って仕方が無い。(敬称略)
杜父魚文庫
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