6145 鳩山氏にもう一度会いたいだって 古沢襄

■小沢出馬せずで立ち遅れ
29日、モスクワから帰国する鳩山前首相と菅首相が会うという。ここにきて、何を今更?という気がしないでもないが、それだけ菅陣営が劣勢を感じているからであろう。「検察に小沢を売り渡す」とか「小沢時代の幹事長経費の配分表を野党に渡す」といった過激な噂がどこからともなく流れてくる。
それもこれも「小沢出馬せず」で仙谷官房長官や枝野幹事長がみていたことが裏目に出た。野党時代からオリジナル民主党は世論に頼り、新聞やテレビの情報に対する依存度が高い。その新聞やテレビが「小沢出馬せず」の観測だったから無理もない。
軽井沢に菅グループの荒井国家戦略担当相が小沢氏とツウショットの写真を撮っていた。小沢氏とは年来の友だった筈の石井一氏も軽井沢に姿を現した。いずれも小沢氏は出馬せず、無投票で菅再選をすべきという主張をしている。
荒井氏は軽井沢から帰京して「小沢出馬せず」の感触を菅首相、仙谷官房長官らに伝えている。石井氏も同じ感触を得たのであろう。これが結果的に菅陣営の立ち遅れに繋がっている。選挙対策本部の最高責任者になる江田前参院議長は早々と外遊に出掛けて戻ってこない。
■無記名投票がカギ
代表選の立ち遅れを挽回するためには、世論に訴える手しかない。国会議員の投票は無記名だから、小沢支持の顔をしながら、投票用紙には「菅直人」と書くことができる。面従腹背は政界の常だから、この手法はいまでも通用する。かつての自民党はカネで議員票を釣り上げていた。両陣営からカネをせしめた強者もいた百鬼夜行の世界である。
今はカネをばらまくわけにはいかないから、そっとポストを囁く。そのお役目は口八丁手八丁の代貸しクラスたち。いきおい約束手形の乱発になる。もっとも約束手形を実行したら内閣は二つあっても足りない。手形が落とせない場合は、次の内閣改造を待つことになる。無記名投票だから、ほんとうに「菅直人」と書いてくれたか、永遠に分からない。どっちもどっちだということになる。
それでも世論が「小沢ノウ」で最後まで変わらなければ、頼りにならない菅首相でも頼りにするしかないという議員が土壇場で出てくるのではないか。国会議員票、地方議員票を合わせて、小沢氏が優位に立っているというのが現状だが、世論と無記名投票が頼りの菅陣営の逆転劇もあり得る。
■実行力の小沢か、世論受けの菅か
政治家としての実力は、小沢氏が図抜けている。しかし、いかにも暗い政治家で、秘密主義の性格が抜けない。菅氏はずっこける可愛さがあるが、やはり野に置けレンゲ草。日本の総理大臣としては、何もしない、何も出来ない最低ランクに近い。それをカバーしているのが閣僚たちだといえるが、テンデンバラバラの観が拭えない。
下手な指導力を発揮して、この国の将来を誤るよりは、何もしない総理大臣の方が結果的にベターという考え方もある。だが、今は鳩山氏がいう様に未曾有の国難を迎えている。円高無策、株安無策の菅政権では心許ない。仙谷官房長官は「事態を注視する」と述べるが、自分の国の通貨を守る為替介入をする気配がない。
宮崎正弘さんがいう様に「いまの政権トップは中・韓に謝罪する文案をひねり出すことに熱心でも、肝心の国の経済運営に無関心」という危惧がある。やはり不安と危険を伴うが、ここは小沢氏の剛腕に期待するしかないのだろうか。
杜父魚文庫

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