6249 菅首相の「大勝」は錯覚だ 花岡信昭

民主党の代表選は予想された通り、菅首相が制した。メディアは「大勝」としている。たしかに、獲得ポイントで見れば、菅氏721ポイント、小沢氏491ポイントで、その差230ポイント。菅氏が圧倒したように見える。
だが、そこにポイント制の落とし穴がある。
党員・サポーター(34万5286人)では、菅氏249ポイント、小沢氏51ポイント。当初から予想されていた通り、ここで菅氏が小沢氏を大きく引き離した。
だが、得票数を見れば、菅氏13万7998票、小沢氏9万194票。6対4だ。この比率は、地方議員票(2382人)の菅氏60ポイント、小沢氏40ポイントと同じである。
党員・サポーター票は衆院小選挙区ごとに上位得票者が1ポイントを得るシステムだ。小選挙区制と同様、「死票」が多くなるのである。
国会議員票は菅氏が206人で412ポイント、小沢氏が200人で400ポイント。
6人の差ということは、3人が違う投票行動を取っていたら、同数だったということになる。411人(衆院305人、参院106人)の国会議員のうち、2人が欠席した。無効票が3票だ。このことも考慮に入れれば、国会議員票の帰趨はどうなっていたか分からない。
あえてそのことを強調するのは、菅氏の側が「大勝」ムードに酔っているのだとすれば、それは勘違いだということを指摘しておきたいからだ。
民主党は親小沢派と反小沢派で真っ二つに割れた。そのことのほうがより深刻であるはずだ。党員・サポーターには在日外国人も許容するなど、公党の代表選挙としてはおかしな仕組みであることも指摘されてきた。在日外国人の割合は公表されていない。というよりも把握されていないようだ。
「大勝」の大きな要因となったのは、その党員・サポーター票によるわけだから、そう考えると、代表選挙の別の顔が見えてくる。さあ、菅首相はどう出るか。小沢氏は「一兵卒として民主党政権の成功に貢献したい」などと言っている。
これをうかつに認識すると、なんとも怖い。「一兵卒」とへりくだるときには、小沢氏のハラの中はまったく逆だという見方もある。
それにしても、代表選挙が行われた14日の臨時党大会での菅首相の決意表明は、いったい何だったのか。だれが原稿を書いたのか知らないが、このくだりには聞いていてその意図を疑わざるを得なかった。
以下、産経ネット配信から、その部分だけ紹介する。
<私は、皆さんの力と可能性を信じます。皆さんは多くの経験を積まれ、それぞれの背景と、得意分野をお持ちになっています。わが党の中には会社員から経営者まで、そして、公務員、知事、市町村長経験者、地方議会、国内外の議員、議会スタッフ、議員秘書、政党職員、労働組合、シンクタンク、金融機関、弁護士、裁判官、検事、公認会計士、税理士、フィナンシャルプランナー、社労士、司法書士、行政書士、気象予報士、ジャーナリスト、アナウンサー、ツアーコンダクター、派遣社員、神主、僧侶、牧師、医師、歯科医師、医療介護関係者、看護師、薬剤師、団体職員、学者研究者、学校の塾の経営者、学校幼稚園の先生、保育士、俳優、スポーツ選手、農業、林業、牧場経営、植木職人、自衛官、NPO、NGO、国際機関、薬害被害者など、本当に多種多彩な背景と経験を持った方が集まっておられます。
この多種多彩な議員の集まりこそが民主党の強みであり、財産であると私は、自負を致しております。一人ひとりの経験と問題意識が重要です。皆さんの行動が日本中で苦しんでいる方を助ける大きな原動力となります。皆さんの行動が日本中で輝きながら頑張っている方を応援する大きな力となります。皆さんが抱える一つひとつの問題意識の集合体が、日本が抱える問題のすべてになると私は考えています。>
全員で政権を運営していくということを強調したかったのかもしれないが、なんと、ここで出てくる業種をざっと数えると50ぐらいになる。テレビを見ていて、いつまで続くのか、時間内に終わるのだろうかとひとごとながら心配になったのであった。
   
杜父魚文庫

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