6294 ”正義の象徴”が地に墜ちた不祥事件 古沢襄

地検特捜部の主任検事が証拠の改ざんをしていたという前代未聞の犯罪をおかして最高検に逮捕された。検察は無実の者を犯罪者として逮捕、起訴できるとなれば、”法と証拠”の美名のもとに何でもできるという検察ファッショになりかねない。
事実、郵便割引制度をめぐる偽の証明書発行事件で厚生労働省の元局長村木厚子氏(54)はこれで逮捕、起訴された。しかも拘留された村木氏が、この不正に気がつかなかったら、事件は闇に葬られていただろう。考えるだけでも怖ろしい事件である。
特捜部といえば数々の政界汚職事件で犯罪を暴いてきた”正義の象徴”であった。その権威が地に墜ちた不祥事といえる。しかも大阪地検の内部では不正の噂が広がっていたという。朝日新聞によれば、問題の大阪地検特捜部検事の前田恒彦容疑者(43)が、東京地検特捜部に応援に行っていた1月下旬、同僚検事に電話で「(上村被告側へのFD返却直前の昨年7月に)データを変えてしまった可能性がある」と打ち明けたという。
これが正しければ、大阪地検は組織ぐるみで不正に荷担していた疑いが残る。前田容疑者は当時の特捜部幹部に対しても、電話で同じ内容を報告したというから、不正事件は単に前田容疑者一人の犯罪にとどまらない。最高検の捜査に伴って、大阪地検特捜部の検事たちが事情聴取で呼ばれるであろうから、事件の全容が明らかになれば、事は検察のトップである最高検の検事総長の辞任にまで及ぶであろう。検察内部のもたれ合いで事件を適当に処理することは許されない。
一日でも早く事件の全容を解明し、関与した検事を厳しく処断して失墜した検察の信頼回復をする必要がある。それが出来ないと政界の汚職摘発をする特捜部が機能しなくなる。悪事が大手をふってまかり通ることになりかねない。
杜父魚文庫

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