眠っていた反中国の日本ナショナリズムに覚醒の火をつけてしまった観がある。度重なる北京政府の反日的な恫喝と菅政権の弱腰外交が原因となった。仙谷官房長官の”偏狭なナショナリズム”を排する趣旨の発言は、中国の排日ナショナリズム批判であると同時に日本ナショナリズムの勃興を抑える意味合いがあった。
日中緊張関係の高まりの中での仙谷発言だったが、むしろ北京政府に対する厳しい批判に重点を置くべきでなかったか。日中両国のナショナリズム批判では、あまりにも評論家的でいただけない。領海を侵犯した中国漁船の船長の釈放も那覇地検の判断まかせに逃げている。
これが国民の目には腰の定まらない弱腰外交と映ってしまった。尖閣諸島を行政区域に持つ沖縄県議会は全会一致で、政府に対し、中国人船長を釈放したことに抗議するとともに、日本の漁業者が安全に操業できるような措置を求めた決議を採択した。
横浜市議会も政府に対し、尖閣諸島が日本固有の領土であるという毅然たる態度を中国や諸外国に示すことなどを求める意見書の提出を賛成多数で可決している。中国政府に対し①尖閣諸島がわが国固有の領土であるという毅然たる態度を堅持し、中国政府をはじめ諸外国に示す②中国政府に厳重に抗議するとともに再発防止策を求める③第11管区海上保安本部の監視・警備体制の強化を図る④わが国の漁業者が尖閣諸島海域において安心して操業できる適切な措置をとることを求めている。
秋田県議会は中国に領海侵犯などへの謝罪を求めるよう国に求める意見書を賛成多数で可決した。意見書は「政府の対応は、尖閣諸島における日本の主権の存在を揺るがしかねない」としている。地方議会に燎原の火のごとく広がる菅政権批判を”偏狭なナショナリズム”で片付けられるものだろうか。
国境の海である尖閣諸島周辺の海域では、海上保安庁の巡視船8隻が出動して、懸命に日本の領海を守ろうと行動している。その様子を中国の環球時報が自社の記者がルポで伝えているのも皮肉な出来事といえる。
<【北京時事】中国共産党機関紙・人民日報系の環球時報は28日、沖縄県・尖閣諸島(中国名・釣魚島)付近で活動する中国の漁業監視船2隻に同紙記者が乗り込み、「日本の海上保安庁巡視船8隻に追跡され、行く手を阻まれた」などと現場の模様を伝えるルポを掲載した。
ルポによると、監視船の「漁政201」と「漁政203」は25~27日、海保巡視船に「日本領海に入ろうとしている。直ちに向きを変えろ!」などと警告された。さらに、海上自衛隊のP3C哨戒機が偵察のため少なくとも1日3回飛んできたという。
漁政201は24日夜以降、「釣魚島の周囲を1周し、島の南側を半円を描くように何度も往復した」と伝えている。(時事)>
杜父魚文庫
6349 地方議会に広がる政府外交の批判 古沢襄

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