6356 国の壊れる音を聴け 古森義久

日本という国がこれほど揺れ動いてくるにつれ、つい自分が以前に出した本を思い出しました。『国の壊れる音を聴け』(恒文社21 2003年刊)という本です。もう7年も前の出版ですが、そのときつけたタイトルがなんともいえない不安感とともに、よみがえってきたのです。
いまの日本という国家が日米関係の動揺をみても、また対中関係での主権を放棄するような土下座ぶりをみても、壊れるのではないか、という懸念がわいてくるのです。
「国の壊れる音を聴け」というタイトルはこの書の編集と出版にあたってくれた恒文社21の加藤康男専務(当時)が私の思いを聞きながら、考えてくれました。いいタイトルだと思いましたが、そのときは、まさにこの言葉が実感と迫力をもって、いまのように自分の感覚を襲ってくるときがくるとは思いませんでした。
この書で私が訴えたかったことを「あとがき」の一部から以下に引用します。
「私が新聞記者として国際報道にかかわる長い道程で胸を刺されるように感じてきたのは、日本と外部世界とのギャップだった。日本では正当化されることが国際社会ではまったくの論外とされる。日本で美徳とされることが他の諸国では破綻とされる。そんな断層のような違いを数え切れないほど体験してきた」
「もちろん日本には日本独自のやり方がある。独自の価値観がある。だが他の諸国や外部世界とのかかわりで、ここまでは共通の認識や政策がなければ、共通の歩調がとれなくなるという範囲内では、国際的な規範に背を向けたままでは破綻となる」
「国際的な規範から外れた日本のあり方にはふつうの独立した主権国家のあり方からも逸脱する部分が多いと感じることもしばしばだった。日本はあくまで日本、という前提でみてさえも、独立国家としておかしな構造や体質が多々あることをも痛感した。あえて外部世界とくらべなくても、ふつうの国家としてはゆがみすぎている側面があまりに多いのだった」
「そのゆがみはこのままだと日本という国家を壊していく、と恐れるほどである」
「そうした懸念をも交えて、外からみた日本の異端部分について書いたのがこの書だといえる」」
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菅政権が日本の法律の秩序を無視して、公務執行妨害や領海侵犯の中国漁船の船長を釈放してしまったことは、上記の「ゆがみ」の典型のように思えるのです。
杜父魚文庫

コメント

  1. Ken より:

    はじめまして
    赤い政権はその音を心地よい音楽として聞いているのかもしれませんが,私達は立ち上がります。10月2日(土)は全国各地で反中集会・デモ行進街宣活動が予定されています。わたくしも参加しますが,是非マスコミが大々的に取り上げますよう応援してください。当日にはニッポン・ナショナリズム交響曲として古森さんの両の耳に届くことでしょう。

  2. yosi より:

    今度の中国の尖閣侵略と菅内閣の対応をみていると1930年代のナチに対するチェンバレンの融和外交の悲劇的結末を思い出す。
    チェンバレンはヒトラーに騙され、チェコのドイツへの併合を許してしまう。これがその後のナチの領土拡張意欲に火をつけ、第二次大戦の原因になったと言われている。
    民主党もチェンバレンと同じ間違いを犯しつつあるのではないだろうか。
    尖閣への自衛隊派遣を行わない。中国に何をされてもご無理ごもっとも。これでは沖縄も取られてしまう。アジアも危ない。
    ①尖閣への自衛隊派遣
    ②国防力強化
    ③米、日、豪、印、インドネシア軍事同盟の締結
    ④武器輸出強化
    ⑤日豪の対中核兵器共同保有
    等の対応が至急に必要ではないだろうか。

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