アメリカの大手研究所がアジアの軍事バランスを発表しました。最大の特徴はやはり中国の近年の顕著な軍事力拡大だとされています。それに比較して、わが日本は防衛は縮小の方向にあります。
■10年で防衛費3倍に 日本は減少
【ワシントン=古森義久】米国の安全保障の大手研究機関「戦略国際問題研究所」(CSIS)は27日、アジアの軍事バランスを発表した。アジア各国のここ10年ほどの軍事力の変遷を数量的に追った報告だが、やはり中国の軍事拡張が最も顕著な傾向として鮮明となった。
「アジアの軍事バランス=1990年から2010年」と題された同報告はロシアを含むアジア諸国の防衛費、兵員、兵器類を数量的に分析したとしている。同報告は詳細な数字を並べ比べることで読み手がアジアの軍事動向を判断するという主眼から、あえて分析の記述は発表していないが、報告作成の中心となった軍事専門家のアンソニー・コーデスマン氏は、アジア全体の軍事バランスについてまず第一の特徴として「中国の軍事台頭」をあげた。
同報告では中国が防衛費でも日本の2倍、ロシアの1・5倍に達し、さらにここ10年間では3倍になったのに対し、日本は逆に減少するという対照を描いた。
中国は陸海空軍の現役兵員数でもアジアの諸国中で突出し、水上艦艇、潜水艦のほか戦闘機や爆撃機を含む作戦用航空機数でも最大規模となった。
同報告はさらに、各種ミサイルの保有でも中国が特別な数量を保有することから中国だけを分離して、ミサイル保有の一覧を提示している。
非核の通常戦力全般の中国の突出に対抗できる戦力として同報告は「太平洋の米軍戦力」をもリストアップしているが、アジア諸国同士の比較とは一線を画す扱いを示した。
核戦力のバランスについても中国の長中短の射程の各核弾頭搭載可能ミサイル多数を並べているが、同時に「太平洋地域での核可能戦力」として米国、ロシア、インド、パキスタンの兵器類の数量をも提示した。ただし米国の核戦力としては潜水艦と航空機、ごく一部の旧式地上発射ミサイルだけを示し、アジア・太平洋地域用には米国の核兵器が大幅に限定される基本を明らかにした。
杜父魚文庫
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