6384 一転して積極姿勢をみせた民主党政権 古沢襄

産経新聞社とFNN(フジニュースネットワーク)合同世論調査で、菅内閣の支持率が48・5%に急落したことは、予想されたこととはいえ政府与党に衝撃を与えた。他社が同様に世論調査を実施すれば、アナウンス効果もあって、民主党政権に与える影響は計り知れない。
それもあってか、菅政権の動きが急速な展開をみせている。支持率急落の原因が①対中国外交で弱腰とみられている②中国が日本向けのレアアース(希土類)の輸出通関が滞わせて、日本産業に打撃を与えようとした③準大手ゼネコン「フジタ」の現地社員がまだ一人拘束されて釈放されない④日本固有の領土である尖閣諸島周辺の海域に中国漁船の出漁が増えた一方、日本漁船の出漁が激減している・・・ことで、菅外交の無策が批判された。
世論に敏感な菅政権は、積極的な外交姿勢をみせることによって、内閣支持率を回復する動きに転じた。菅首相は二日夜にモンゴルのバトボルド首相と会談し、レアアース(希土類)などの資源開発に官民連携で積極的に協力する考えを表明した。この会談には三菱商事、東芝、新日鉄などの企業のトップも出席している。
日本産業にとって重要な資源であるレアアースなどの輸入を九割方、中国に依存してきた輸入構造を官民連携で積極的に多角化を目指す方向性を打ち出したのは歓迎されていい。モンゴルだけでなく有望資源を持つ他国に対しても官民連携で投資を働きかけ脱中国依存を図る必要がある。
その一方で民主党の枝野幸男幹事長代理はさいたま市で講演し、沖縄・尖閣諸島沖の中国漁船衝突事件について、中国を「悪(あ)しき隣人」と批判した。国内向けには国民の喝采を受けるかもしれないが、中国がどのような反発をみせるか、一抹の懸念がある。
枝野氏の主張は「中国を米国や韓国と同じように信頼関係をもって物事を前に進められると、期待する方がおかしい」という警鐘を鳴らしたことにあるが、「悪しき隣人」の部分だけが誇大に伝えられ、日中関係にさらなる緊張関係を生む懸念がある。
「中国が本当に日本のパートナーになりうるのか。政治体制が違い、私たちにとって当たり前の法治主義がない」「法治主義の通らない国だから、突然、身柄を拘束される。そんな国と経済的なパートナーシップを組む企業は、よほどのお人よしだ」という指摘は、その通りなのだが、脱中国を急ぎ過ぎると新たな摩擦を呼ぶことになりかねない。
脱中国依存は静かに着実に進めて、中国に対する過度の依存度を減らすことではないか。あえて喧嘩腰になる必要はない。外交慣れがしていない民主党政権の弱点とならねば良いが・・・。
杜父魚文庫

コメント

タイトルとURLをコピーしました