オバマ大統領はなお不調です。支持率が着実に下がり、彼の所属する民主党全般への異例なほどの不人気の「元凶」とされています。
さてそのオバマ大統領の外交政策ですが、これまた顕著な成果はありません。それどころかオバマ外交自体への批判が強まっています。その批判の代表的な実例を紹介します。
[ワシントン=古森義久]米国のオバマ大統領の外交政策の特徴とはなにか―共和党系の学者2人が9月30日のセミナーで、「米国が世界で先頭に立つことを嫌っている」などと批判的に総括した。
ワシントンの大手研究機関「ヘリテージ財団」が開いた「オバマ・ドクトリンを定義づける」と題するセミナーではまず同財団の副会長で共和党ブッシュ前政権の国務次官補(国際機関担当)を務めたキム・ホルムズ氏がオバマ外交について以下の4点を特徴としてあげた。
①米国が世界のリーダーとか「例外」として先頭に立つことを避け、国際課題にも他の諸国と「対等なパートナー」として対応し、米国の価値観を広めることはためらう。
②国際危機や核拡散に対し年来の同盟国よりも国連などの国際機関への依存を優先させ、国際的な協定や合意を作ることで解決にあたろうとする。
③米国は対外的に謙虚に自己の非を認めて謝り、国際紛争は価値観の相違から起きる点をあまりみず、その相違を明確に提起しない傾向がある。
④ソフトパワーを重視し米軍の海外駐留(前方配備)にいつも心地悪さを示し、その種の前方配備が摩擦や対立を防ぐのではなく、むしろ生み出すと考えている気配がある。
同じ共和党のレーガン政権で国家安全保障担当の大統領補佐官を務め、現在はジョージワシントン大学教授のヘンリー・ナウ氏は以下の4点を指摘した。
①オバマ大統領は実利主義者で国際舞台では米国としての道義を追求し、そのために他国と政治的に対決するという姿勢はとらない。
②オバマ外交では他国とのイデオオロギーの差異をあまり重視せず、「謙虚に」対応すれば、相手国も同様に応じてくるという期待をみせるが、この期待は一種の傲慢だ。
③オバマ政権の対決を避ける傾向のために、中国、イラン、ロシアの各国は積極果敢な動きを強めてきた。
とくに中国は米側からの融和の接近にもかかわらず、過激な対外行動を強めている。
④米国はその結果、より自信の少ない、他国との衝突を過度に恐れる、リーダーシップを発揮しない国へと変わりつつある。
ホルムズ氏はオバマ外交のこうした特徴について「大多数の米国民はなお自国が世界のリーダーとして価値観を広めることを求め、そういう自国を誇りに感じている」と述べて、米国民の多数派がオバマ外交には否定的な態度を保っているという見方を強調した。
杜父魚文庫
6420 オバマ外交の欠陥が指摘された 古森義久

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