「国内強硬論見極め判断か ノーベル平和賞も影響?」・・・北京の伊藤正氏の分析である。一人だけ残された「フジタ」社員の解放は、胡錦濤政権が、国内の対日強硬論を抑える自信を深め、判断した結果と分析している。また反体制作家・劉暁波氏のノーベル平和賞受賞をめぐって国際社会との摩擦が大きくなりだしていることも、判断を促した可能性が高いとしている。
長期拘束を強いられた高橋氏の法的な措置は「居住監視」。これは中国の刑事訴訟法第50条に規定され、中国の司法機関や公安機関が容疑者らを拘束、監視する国内法だという。劉暁波氏も長期間、「居住監視」を受けたと伊藤氏は解説している。
<【北京=伊藤正】中国公安当局が、9月20日以来拘束していた「フジタ」社員の高橋定氏を解放したのは、中国漁船衝突事件で険悪化した日中関係の早期正常化を目指す胡錦濤政権が、国内の対日強硬論を抑える自信を深め、判断した結果とみられる。反体制作家、劉暁波氏のノーベル平和賞受賞をめぐって国際社会との摩擦が大きくなりだしていることも、判断を促した可能性が高い。
中国河北省の軍事管理区域に許可なく立ち入ったとして、「居住監視」という身柄拘束下に置かれたフジタ社員4人のうち、高橋氏のみが未解放だった理由は「なお取り調べが必要」(中国外務省報道官)とされた。しかし4人は不注意で一緒に禁止区域に入ったと、先に解放された3人は証言しており、高橋氏だけ区別する根拠はない。
通常、禁止区域の立ち入りは、スパイ行為でない限り罰金や国外退去になるが、フジタ社員はそうした処分さえ受けずに解放された。当局が「犯意のない不注意」を認めたに等しい。にもかかわらず、長期拘束したのは、中国側が漁船衝突事件をめぐる対日圧力に利用したためだ。
日本側が、中国側の漁船船長の釈放要求に応じた後、日中間では関係修復の動きが始まった。9月30日のフジタ社員3人の解放もその動きと関連していた。中国筋によると、高橋氏の拘束を続けたのは、主として、中国国内の対日強硬論への配慮と日本側の関係改善への動きの確認の2つあったという。
前者に関しては、日本側による漁船船長勾留(こうりゅう)の日数に対応、高橋氏をほぼ同じ期間拘束した理由だ。後者については、中国側は、衝突時のビデオ公開など改善に逆行する行動の自粛を日本側に求め、ブリュッセルでの日中の首相会談を経て、日本側の改善意思が明確になったと判断したという。
高橋氏は、中国側の国内事情や、外交戦術によって不当な長期拘束を強いられた。「居住監視」は中国の刑事訴訟法第50条に規定され、中国の司法機関や公安機関が容疑者らを拘束、監視するもので、期間の規定はない。
それは中国では異議申し立て者に対する抑圧手段の一つであり、劉暁波氏も長期間、居住監視を受けた。劉氏への平和賞授与を機に、中国の人権状況改善への国際的圧力が強まる中、中国は高橋氏の拘束継続は得策でないと判断した可能性もある。(産経)>
杜父魚文庫
6434 中国も日中の早期正常化を望む 古沢襄

コメント
細かいことが気になってしまうたちで、ちょっと解説していただきたいのです。
高橋さん解放についての時事通信に記事で「保証金を取って審問を待つという保釈の状態にある」と書かれているのですが、日本語として変ですよね、「保証金を取られて」ならわかるのですが、でももしそうならば日本でも保釈金を払って保釈されるみたいに、彼は多額の保証金を払って正式な判決が下るのを待つ身なんですかね?国外追放でもないんですよね。