中国の習近平国家副主席が中央軍事委員会副主席に選ばれたことについて、矢吹晋・横浜市立大学名誉教授が産経新聞に解説(談)している。「習氏が軍の要職に就任したことで、胡錦濤国家主席がレームダック(死に体)化するのではないかとの見方もあるが、そもそも胡体制の前半は江沢民前国家主席によるリモコンがあり、後半は軍をバックとする習氏がのし上がってきており、胡主席の特色など出せないままだった」という見方は厳しい。
それでも胡錦濤氏は次期党大会で軍事委主席の座は2年ほどは習近平氏に渡さないという見方をしている。お手本は江沢民氏。八方美人の習近平氏は国家主席になっても、これを許すのだろう。軍に根っこがない温家宝首相は二年後には消え去る運命。日本の民主党内の権力争いよりも、こちらの方が迫力がある。
<習近平氏の党中央軍事委員会副主席への就任は、中国共産党の体制を何が何でも守るということを内外に示した。一党独裁体制について批判されても安定させようとする決意が見える。
第17回党大会で現指導部の体制が決まったが、後継指導者が習氏で、次期党大会で習氏と李克強副首相以外のほとんどが指導部を去ることは明白。李副首相が台頭するのではないかと見る向きもあったがあり得ない話だ。習氏の就任は当然の結果だ。
習氏が軍の要職に就任したことで、胡錦濤国家主席がレームダック(死に体)化するのではないかとの見方もあるが、そもそも胡体制の前半は江沢民前国家主席によるリモコンがあり、後半は軍をバックとする習氏がのし上がってきており、胡主席の特色など出せないままだった。現在の李副首相を後継者にできなかった17回党大会ですでに負けていたのだ。
次期党大会で胡主席は軍事委主席の座は2年ほどは渡さないのではないか。完全引退すれば、習氏が属する高級幹部子弟グループ「太子党」が露骨に勢力を配置し、牛耳られる可能性があるからだ。しかし、それも面目を保つ受け身的な意味でしかない。(産経)>
杜父魚文庫
6482 八方美人だが習近平氏がのし上がる 古沢襄

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