「蝦夷」を「えみし」と読む場合、東北地方の先住民を指すことが多いそうである。7世紀ごろに西日本を平定した大和朝廷は東北、北陸、蝦夷(えぞ、北海道)の制覇を進めていく。この地域は永らく日本のフロンティアであった。
過酷な気候でも開拓しようというのは、人口増加に対応するために田畑が必要だったからだろう。入植者は昭和時代でも苦労したから、江戸時代までは飢饉の連続で死屍累々であった。
基本的に気候温暖で「和」をもって尊しとする国柄であっても、我々庶民にとって生きることは結構なチャレンジで、その厳しさは今では社会保障があるから緩やかになっているとは言え、相対的には変わらないだろう。
日本でさえこういう状況だから、中国の悲惨さはすさまじい。昔からシナ人、華人というか華僑は国を捨てて世界へ雄飛した。国外で暮らす華人・華僑は4000万人と言われている。そのトレンドは今でも変わらない。
<環球時報によると、近年の中国では、財を成した富裕層や高学歴エリート層の海外移民が相次いでおり、2009年の移民者数は前年比で30%近く増えたことが分かった。中国人移民者の多くはカナダやオーストラリア、米国に移民している。
報道によれば、富裕層・エリート層たちが移民するのは、より良い生活環境と子供への教育環境が一番の理由だが、その他にも中国の治安に対する不安も大きな理由の一つ。移民希望者の多くは貿易や金融・不動産などの仕事に従事している人々で、企業主や管理職が主だという> (日中通信社)
受入国にとって中国人移民は頭痛のタネだろう。なにしろ現地のルールなんて知ったこっちゃないという無法者である。できればご遠慮願いたい、というのが本音だろう。ガードを固め始めている。
移民の仲介を行う企業によれば、カナダの移民条件は、「カナダに40万カナダドル(約3200万円)以上の投資を行っていること」だが、今後は「80万カナダドル(約6400万円)以上」になる見通しだ。
中国でマンションを買うなら、同じ金額でカナダにマンションを買えば永住権も得られるのだから、シナの金持ちはカナダ、米国、オーストラリアを目指すのである。
資産や人材の流出というマイナス面もあるが、シナで成功し、海外でも成功した華人は新たなビジネスチャンスを求めてシナへ戻るケースが結構あるようだ。故郷に錦を飾るということだろうか。だから人材と資産の国外流出なんて気にすることはないという論調もあり、日本とは異なる大陸的発想なのだろう。
すこぶるタフである。こんな異形の国との戦略的互恵関係なんてあり得るのか。
杜父魚文庫
6501 シナ人は世界を目指す 平井修一

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