米ワシントン・ポスト紙がこの人の存在を知って「そうだ、世界で最も間抜けな組織に与える『ルーピー賞』をつくろう」という天啓を受け、それを実行したという世紀の偉人、鳩山由紀夫前首相が昨日、訪問先のハノイで記者団に対し、自身の引退宣言の撤回を表明したそうです。6月の首相辞任の際には「総理大臣たるもの、その影響力を行使しすぎてはいけない。次の総選挙には出馬しない」と偉そうに言っていたくせに。
いったい、何度国民を唖然、呆然とさせたら気が済むのでしょうか。この人について私は9月26日付の産経コラムで「鳩山前首相に引退を勧める」という一文を書いたことは、以前のエントリでも紹介した通りです。そうしたら、9月29日付の朝日新聞にも、北海道報道センターの若松聡記者が「鳩山氏は早期に議員辞職すべきではないか」という記事を書いていました。多くの人が似たような思いを持っているのだと考えます。
ところが、ルーピーのルーピーたるゆえんというか、頭のネジが外れ、シナプスとシナプスがもつれ、ほつれて人類の言葉が理解できない鳩山氏は自己愛と自己陶酔の極北へ立ち、次のように語ったといいます(産経は今回、同行取材をしていないので、他紙を総合して記します)。
「議員を続ける方向に気持ちが傾いている。党の状況が思わしくないから、自分の役割を投げ出していいのかと、いろんな方々から声をいただいている。辞めたときと状況が違うから、前向きに変えなきゃいけないかなと思っている。今年中に結論を出す」
…これは何のギャグだ?誰だよ、ルーピーをまたその気にさせたのは?余計なことをしやがって、と正直思います。先日もある官邸スタッフと話をしていたら、やはり「本当に愚かな人だった」と述懐していましたが、仙谷由人官房長官の「柳腰」とは違った意味での手強さを感じます。人が一生のうちにそう何度も出会うことのできない正真正銘の、本物の「◯×」を見ているのだと諦めるしかありませんね。
で、そんなことを思いながら同僚記者たちの取材メモをチェックしていたら、自民党の石破茂政調会長が激怒しているのが目につきました。いやほんと、鳩山氏はそろそろ国民の逆鱗に触れてとうぜんでしょうが、かなり激烈で面白いと感じたので報告します。
記者:鳩山前首相が引退の意向を撤回したが。
石破氏:信じられない。どうかしている。自分の言葉に責任を持て。特に政治家の出処進退というのは最も重要なことであって、「辞める」と言った、それをいとも簡単に取り消す。それも民主党が私を必要としているというような理由である。
いかなる理由があっても、総理まで務めた人が軽々と前言を撤回するということはその人が作った民主党、そして民主党が発言すること、そのことも全て信用がならないということだ。だから、これはどうしても証人喚問を求めざるを得ない。裁判が終わったら検察にある書類は全部出しますと、あれも大嘘だったわけですよ。この人の大嘘に世界中が翻弄されたわけですよ。これを断罪せずしてどうするかということだ。許し難い。
記者:小沢元代表とも合わせて証人喚問を求めるか?
石破氏:そうなりますね。これはね。昨日、民主党に対する厳しい審判が下った。その日に平気でああいうことを言うという神経を私は疑う。国民に対する挑戦だ。そして政治家というものを貶める愚かな振る舞いだと思っている。こういう人はもう徹底的に国会に呼んで真実を明らかにするのがわれわれ議会の責任だと思っている。
記者:国対レベルでは民主党の調査を待つということになっていたと思うが、昨日の選挙の結果や鳩山さんの発言も受けてということか?
石破氏:そうだと思う。私はあの人が政権を取り、日本をめちゃめちゃにしたと思っているものですからね。この人はこういう人であったのだということを国民の前に明らかにする必要があると思う。普天間の問題にしても、財政の問題にしても、あの人が政権を担ったことによってこんなことになっちゃった。それでも辞めればまだ許せるかと思ったが、なおやるというわけで、何をかいわんや、言語道断だ。
…石破氏には、この怒りを国会の場でストレートに表し、どんどんやってほしいところです。まあ、実際は証人喚問実現は難しいのでしょうが。でも、どうして鳩山氏や仙谷由人官房長官らはわざわざ他人の気持ちを逆撫でするような言動ばかりとるのでしょうか。菅直人首相もきょうの参院予算委員会でこう述べ、国会招致は必要ないとの考えを示しました。
「(鳩山氏は)関係する裁判などはすべて終了し、首相辞任という一番重い政治責任をとった。(鳩山氏が持っていないと国会答弁した会計資料のコピーを顧問弁護士が保管していた件は)鳩山氏の個人的な政治資金の話で、直接知る立場にない」
まるで他人事です。本日の菅首相は、自民党の森雅子氏の質問に対し、相手の名前を間違えながら怒りを剝き出しに威嚇していましたが、答弁内容は相変わらずの「逃げ菅」「空き菅」「すっから菅」「こりゃ、あ菅」ぶりでした。
鳩山氏が次の衆院選に出馬したら、地元有権者の見識と良識が問われる選挙区として、かなり注目を浴びるだろうなと思います。その中で、スポットを浴びて嬉しそうな鳩山氏がくるくると飛び回り、素っ頓狂で的外れな演説を繰り返す姿が目に浮かびます。なんなんだ、この人たちは!
杜父魚文庫
6536 ルーピー引退撤回に石破氏が憤怒に燃えています 阿比留瑠比

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