6598 李登輝氏、改めて「尖閣は明確に日本領」と表明 阿比留瑠比

ロシアのメドベージェフ大統領が北方領土・国後島の地を踏んでも、菅直人首相も仙谷由人官房長官も「遺憾だ」というばかりで何ら痛痒を感じていないかの様子です。尖閣諸島問題に続き、信じられないほどの主権に対する鈍感さと、主権者たる国民の怒りに対する不感症ぶりに、日々、憤りと絶望を覚えざるをえません。
仙谷氏に至っては昨日の記者会見で、「これで決定的にどうということはない。私はその程度に考えている」とまで言い放ちましたが、このルーピーズが引き起こした人災によって、わが国は戦後最大の国難に見舞われているのかもしれません。まあ、きょうになって、河野雅治駐露大使を一時帰国させることにしましたが、はてさて…。
一方、「永世ルーピー」として彼らの尊敬を一身に集める鳩山由紀夫前首相は昨日の自身のツィッターで、「正しいことを言うときは少し控えめにする方がいい。外交交渉の要諦はここにある」などと寝言をほざき、相も変わらず今日の事態を招いた中心人物は自分であることに全く無自覚であるようです。あなたなんかから「外交の要諦」なんかを聞かされなければならない我々は、どんな原罪を背負って生まれたというのか…。
前置きが長くなりました。昨日の産経政治面には、安倍元首相が台湾の李登輝元総統と会談した際、李氏は「尖閣諸島の領有権は日本にある」と明言したという記事が短く載っていました。見出しは「馬総統『尖閣、感情対応回避を』安倍氏訪台」というものだったので、この部分を危うく見逃すところでした。
李氏は以前にも、尖閣諸島は日本領であるという考えを表明していますが、今回の中国漁船衝突事件の後だけに、これは意味があるなと感じました。そこで、安倍氏に李氏の言葉はどういう言い回しだったか取材したところ、次のようだったとのことでした。
「歴史をよく調べれば、尖閣諸島は日本に領有権があるのは明確だ」
これは、やはり尖閣諸島の領有権を主張している台湾政府の立場とは全く異なりますが、元総統がこうはっきり発言してくれるのはありがたいですね。ルーピーの羽毛より軽い思いつきの言葉とは違い、重みもありますし。
李氏はもう一つ、「尖閣諸島付近を、日本の漁船と台湾の漁船がともに操業できる暫定措置水域にしてもらえないだろうか」とも述べたそうです。尖閣諸島付近海域のごく一部には、日中の排他的経済水域の重なる暫定措置水域があり、日中協定でそこでは両国の漁船がともに操業できるタテマエになっています(今回の衝突事件は暫定措置水域外です)。
一方、台湾との間では、この暫定措置水域を設定しようとすると、「もろに尖閣諸島の真ん中、ホットスポットにぶつかる」(外務省)とのことで、日台間で合意はできておらず、無秩序状態になっているとのことです。これは李氏の要望とはいえ、確かに調整は簡単ではなさそうですね。政治的・外交的な機微に触れる部分が大きく、いろいろと問題は波及しそうだし。
まあ、李氏はさすがに本物の政治家だということでしょうね。日本にとって「ありがたい」話をしつつも、それだけでは終わらない。クセ玉、隠し球も仕込んでいると。油断はできません。少なくとも、無条件に東シナ海を「友愛の海」にすると言って衝突の海へと導いたどこかのルーピーとは比べものにならないと、改めて感じた次第でした。
杜父魚文庫

コメント

  1. 菅総理が遺憾と言っても、領土問題は話し合いでは解決しない。
    北朝鮮に対する制裁を上回る制裁をロシアに対しても実施すべき。
    ロシアは北朝鮮より腹黒でたちが悪い。
    北海道にロシアに向けたミサイルを配備することが必要。
    核弾頭を搭載するのが望ましい。使用するのではなく交渉のカードである。

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