6618 石原都知事が「ビデオ流出は結構なことです」 古沢襄

五日の新聞、テレビは尖閣ビデオの映像一色となった。国民の大方の声は尖閣ビデオを見て、日本側に非がないことが明白となり、むしろ良かったという街の声が圧倒的である。政府の情報管理の甘さを批判する声よりも、何故、尖閣ビデオを情報公開しなかったという菅内閣の対中弱腰外交を非難する意見の方が強い。
石原東京都知事は記者会見で衝突の映像を見たと発言し、流出したのは結構なことだと感想を述べている。前原外相は国土交通相の時には「ビデオを見れば中国漁船が体当たりしてきたのが明白である」と言った。海上保安庁を預かる国土交通相として当然の発言であった。それが外相になったらビデオを秘匿する側に回った。
尖閣ビデオは国家機密ではない。むしろ積極的に公開し、国民の知る権利に応える性質のものである。それによって一時的に日中関係がささくれ立ったものになっても仕方ない。言うべきことは毅然として言うことが、日本の国際的な信用を高めることになる。
しかし菅内閣は尖閣ビデオの流出元を割り出すことに躍起となっている。野党の自民党も一方でビデオの全面公開を要求し、一方で政府の情報管理の甘さを非難している。
ユーチューブの親会社は検索ビジネス大手のグーグルだから、流出元を割り出すノウハウは世界的なものがある。単純な内部告発であれば、流出元を割り出すのはさほど難しいものではない。しかし、それを公表するかは別物であろう。投稿者を簡単に公表するなら、ユーチューブの事業そのものに影響する。
海上保安庁の内部調査で、問題のビデオは映像に流れたテロップに「撮影者」として書かれた海上保安官の氏名が、事件当時、実際に巡視船でビデオ撮影を行っていた保安官と同一だったことがわかったとしている。だが、この保安官がビデオを流出させた本人とは断定していない。
流出映像は石垣海上保安部(沖縄県)が那覇地検に提出した証拠用データとみられ、衛星回線で海上保安庁に送られている。那覇地検に提出されたビデオ映像も証拠として地検から最高検に送られた。この過程で関係者がビデオを見ているから、石垣海保だけの調査では流出元を特定するのは無理がある。また流出経路を追うだけでは投稿者の特定は不可能である。
やはりユーチューブに残された投稿先の足跡から割り出すことが先決であろう。
ただ、この種の内部告発はいくつかのコンピューターを経由して発信元を突き止められない様に工作しているケースが多い。ネット情報の発信者なら精通している事柄である。もし、そのケースならユーチューブでも発信元を突き止めることは出来ない。
複数のコンピューターを経由しながら、同時に痕跡を消去する手法をとるからである。しかもいくつかの国のコンピューターを経由させるプロの仕事なら全くといって良いほど痕跡を残さない。
杜父魚文庫

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