国民の「知る権利」をどう考えるのか。菅政権がそもそも国民の知らせるべき公共の情報を不当に隠していたのです。
法は法という基本は確かに大切です。しかし今回の場合は、実際にはもう秘密ではない動画の映像です。しかも国民が最初から知っておくべき映像なのです。この件についての産経新聞の社説を読んでください。
■【主張】ビデオ流出捜査 優先順位をすり替えるな
沖縄県尖閣諸島沖の中国漁船衝突事件で、海上保安庁の撮影したビデオ映像が流出した問題は、福岡高検が捜査に乗り出し、海上保安庁が東京地検と警視庁に告発したことで、刑事事件となった。不正は法と証拠のもとに明らかにされるのが当然である。
だが、事の本質は、中国漁船の側に非があることを明確に映し出している映像を、政府が国民の目から隠し続けたことにある。不法な形の流出ではなく、政府の意思としての全面公開が求められることに変わりはない。
仙谷由人官房長官は、国家公務員の守秘義務違反の罰則を強化する考えを示した。対処すべき優先順位のすり替えである。まず急ぐべきは映像の公開と、中国の反発を恐れて非公開を続けた弱腰外交を反省することだろう。
そもそも衝突映像は国家機密だったのか。海保は当初、ビデオ公開に前向きだったとされる。事実、平成11年に奄美諸島沖で起きた北朝鮮工作船との銃撃戦では直後にビデオが公開され、海保の行動の正当性が裏付けられる結果となった。今回も、その教訓に学ぶべきだったのである。
秘匿対象となったのは、那覇地検の捜査資料となり、刑事訴訟法によって初公判前の証拠公開が禁じられているためだ。政府もビデオ非公開の理由に「刑訴法」をあげ続けてきた。
しかし、中国人船長を処分保留のまま釈放した那覇地検には事実上、起訴猶予しか処分の道はなく、ビデオは証拠価値を失う。いつまでも処分が出ないのは、政府に映像を非公開にさせ続けるためとしか映らない。
検察当局の姿勢にも違和感がある。最高検は、検察内部から映像が流出した形跡がないとする内部調査結果を公表したうえで、福岡高検に捜査に着手するよう指示したことを明らかにした。
問題の映像を保管していたのは、那覇地検と石垣海上保安部だった。内部には調査、外部へは捜査では、身内に対する甘さが引き起こした大阪地検特捜部の証拠隠滅・犯人隠避事件の反省がないと批判されても仕方あるまい。
この期に及んで菅直人政権が、ビデオ映像を流出させた「犯人」捜しに国民の関心を向けさせようとしているなら許し難い。ただちに政府の手で、全面的にビデオを公開すべきである。
杜父魚文庫
6636 菅政権の尖閣衝突ビデオでの倒錯 古森義久

コメント