6645 「外交崩壊」、菅・民主政権の脆弱さ 花岡信昭

◆ロ大統領の国後訪問に危機意識なし
「外交は内政の延長」とはよく言ったもので、内政で求心力を失うと外交もおかしくなる。民主党・菅直人政権の外交態勢は失態続きである。ロシアのメドベージェフ大統領の北方領土訪問を許してしまったのは「外交崩壊」にとどめをさすものだ。政権側にその危機意識がきわめて薄いように見えるのは、いったいどうしたことか。
日本側は「日本固有の領土」として4島一括返還を求め続けてきた。ロシア側も旧ソ連時代を含め、領土問題をめぐる首脳協議に応じてきた。いきなり国後島を大統領が訪れ、「国内訪問だ」と主張するという事態は、これまでの積み重ねを一挙にひっくり返すものだ。
◆国際社会の常識を無視
政府はロシア駐在の日本大使を一時帰国させたが、ここは「大使召喚」でなくては日本側の強い抗議の意思を示すことにはならない。このままだと、北方領土をロシアが実効支配していることを日本側も認めたことになってしまう。
これを回避するには何らかの「報復」措置が必要で、それが国際社会の常識だ。なすすべもないままでは、日本は領土を守る意思も能力もない国として烙印を押されてしまう。この状況は、「政治主導」の名のもとに独善的姿勢を崩さない「菅―仙谷」体制に、外務官僚が横を向いてしまったと見ていいのではないか。
◆「普天間」が失態のスタート
民主党政権の外交がおかしくなったのは、鳩山由紀夫前首相の普天間移設をめぐる迷走に始まる。実現性のない「県外・国外移設」を口にしてしまい、日米間に亀裂が走った。
これを見て、中国が「尖閣」で揺さぶりをかけた。いまごろになってビデオ流出事件が起きるのでは、当初から公開して中国側の理不尽さを国際社会に鮮明にしておくほうがよかった。
日中関係がおかしくなったのを見て、ロシアが仕掛けたのが今回の事態だろう。中ロ関係はこのところ良好だ。すべては連関した動きではないか。インテリジェンス(情報収集)能力の欠如、国家として毅然とした対応をはかれない政権の脆弱さは目に余る。
杜父魚文庫

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