社会活動家に「公共秩序騒乱罪」を適用。ノーベル平和賞受賞者に「国家転覆扇動罪」を適用するくにですからね。
ソウルのG20を舞台に行われた米中首脳会談は予定を越えて1時間20分。殆どが人民元の切り上げ問題に終始した。オバマ大統領が、劉暁波の即時釈放を要求したか、どうかは定かではない。
同日に中国国家統計局が発表した中国の消費者物価指数は同年前月比で4・4%の高騰。九月が3・6%だった。この数字は猛烈なインフレが中国を襲っていることを示す。
金融引き締めは、預金準備率を17・5%にしても、とどまるところを知らない。庶民の鬱積が爆発しかけている。
そして、椿事発生。毒入り粉ミルク事件は、毒餃子事件に前後して2008年に発生。およそ30万人が被害を被った。ようするに赤ん坊のミルクにデタラメな材料を混入させ、一部は諸外国のも輸出された。
毒性粉ミルクを飲まされた乳児6人が死亡し、48人から結石がでた。メラミン入り粉ミルクは10万トンが市場に流通していた。古い原料を使っていたメーカーもあった。被害者の同盟がつくられると当局は弾圧に踏み切った。
全ては価値判断があべこべである。天安門事件は「軍が学生に発砲した」と大声で訴えた市民は拘束され「社会秩序を乱した」と言われた。自由化を要求した劉暁波には「国家転覆扇動罪」が適用された。
社会不満が暴動寸前になると「日本が悪い」といって「反日デモ」を半日だけやらせ、ガス抜きを図るが、甘粛省宝鶏のデモは「物価抑制」「馬英九歓迎」と、まったく日本への批判とは無縁のスローガンが現れ、慌ててデモの弾圧に踏み切る。
さて粉ミルク事件。G20報道に隠れたが、大変な「椿事」というのは、被害補償を訴えてきた活動家が逮捕されたのだ。
粉ミルク被害で家族組織を代表して政府に保証をもとめる活動に邁進してきた趙連海に北京裁判所は「公共秩序騒乱罪」を適用し、懲役二年六ヶ月を言い渡した。唖然とした市民は抗議の談話をだしている。
この粉ミルク事件は、要するに偽ミルク。中国人おとくいのもの、なかには明治乳業の空き缶を利用した悪質な偽物売り逃げケースもあり、六人の赤ちゃんが死亡。あまりのことにメーカーの責任者三人が死刑判決、ひとりが無期懲役を言い渡されている。ノーベル平和賞の劉が十一年の懲役など、中国の司法の乱暴な遣り方に「ウォールストリート・ジャーナル」(11月10日付け)など欧米メディアは大きく報道している。
一般的モラルばかりか、商業道徳さえない国とビジネスを展開している皆さん。そろそろ真剣に撤退を考えるべきではありませんか。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
@@@ 読者の声 @@@ 読者の声 @@@ 読者の声 @@@ 読者の声 @@@
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
♪
(読者の声)尖閣ビデオに関する質問です。自国のヤバイことを隠すために証拠を隠すというのは聞いたことがありますが、他国(それも自国を蝕む国)のヤバイことを隠すために証拠を隠すというのは、私は初めて見ました。世界にそんな独立国があるのでしょうか?
海外のメディア(ジャーナル)はこの件に関して、どのように報じて(論じて)いるのでしょう? 私は語学が全然駄目なので(宮崎先生のメルマガ以外では)NHKのBS1のワールド・ニュース・アワーぐらいからしか情報が得られません。同番組では、この件に関するニュースが報じられません。NHKが意図的にカットしているのか?
それとも、そもそも海外のメディアがこの件を取り上げていないのか?もし後者だとすればその訳は? 日本国政府のやっていることがあまりに愚かしく、取り上げる価値すらないと考えているからでしょうか?
それとも日本国政府の愚行を報じることは、自国民に教育上良くない、と考えているからでしょうか?そのあたりについて論じていただけると、ありがたいです。(T.T生)
(宮崎正弘のコメント)外国のメディアは千差万別。しかも世代交代があります。第一に諸外国、とくに亜細亜では、ジャーナリストへの尊敬、敬愛、信頼というのはありません。この点にご留意下さい。
アジアではジャーナリストというのは「ぶんや」。給料も安く、社会的地位は低い。つまりカネでどうにでもなる記者がかなり多い。韓国、台湾もそうです。中国には所謂「ジャーナリスト」っていません。評論家は、まともな人はみんな、海外へ亡命しました。
第二に悪質なぶんやは、たとえば炭鉱事故と聞けば、まっさきに飛んで行って、経営責任者に会います。狙いは「書かなくても良いんだが?」。つまりカネを巻き上げて、事故はなかったことにするのです。
ですから我々が注意しているのはニュース源です。台湾で辛うじて信頼できるのは『自由時報』でしょう。同様に香港では『明報』と「サウスチャイナモーニングポスト」あたり、ほかのアジア諸国のメディア多くが華僑系。つまり大変が北京べったりです。
日米欧のようにメディアが客観的報道と分析をすると考えると大間違いであり、しかも現地へ行くと新聞やテレビへの情報客観性について言えば、知識人は信頼していないということです。ま、日本でも朝日新聞やNHKへの信頼がゼロに近いように。
杜父魚文庫
6656 世界の常識は中国の非常識 宮崎正弘

コメント