日本にとって明るいニュース、元気の出る情報というのがこのアメリカの首都ワシントンを始めとする国際舞台でまったく少ない昨今ですが、ワシントンでは柔道の井上康生コーチの訪問で明るく元気な日本の活力の新風が急に吹いてきたという感じとなりました。
柔道の全日本選手権、世界大会、オリンピックと次々に制覇した井上選手の実績はもう説明の要はないでしょう。彼はいま日本五輪委員会の海外研修生としてイギリスで指導と勉強を続けています。厳密には現役を引退しましたから、井上コーチと呼ぶのが適切でしょう。
その井上コーチが初めてアメリカを訪問しました。最初の訪問は首都ワシントンです。私の通う「ジョージタウン大学・ワシントン柔道クラブ」などの招きに応じての訪米です。私も井上氏とは東海大学の彼の恩師の佐藤宣践氏は山下泰裕氏を通じて日本での面識がありました。だからワシントンでは久しぶりの再会を喜びあうこととなりました。
さてワシントン地区での井上コーチの活躍はすでにいろいろあるのですが、これまでの圧巻は昨日10日のアメリカ海軍士官学校への訪問でした。日本大使館の藤崎一郎大使らもこの井上氏訪米には歓迎や協力を惜しまず、ワシントン郊外のアナポリスにある海軍士官学校への彼の訪問でも事前の折衝を綿密にしてくれました。
そのせいか、井上氏らが到着すると、まず学生4600人が全員が隊形を組み、点呼を取り、海軍歌やマーチに合わせて行進する場所に招かれ、その直後の学生教官すべてが集まる大食堂で紹介を受けました。4600余人もが着席する壮大な大ホールで「柔道の金メダリスト、日本のコウセイ・イノウエ氏が来訪しました」と宣言されたなかで井上氏は中心部の特別テーブルにつき、
30人ほどの柔道部員や教職員の人たちと海兵士官学校の通常のランチをともにしました。
そのランチの開始と同時に、大食堂のあちこちに設置されたテレビ画面になんと、井上氏のシドニー五輪での柔道試合の模様がビデオで映されたのです。学生たちはナイフやフォークを持つ手を一時、止めて、いっせいに画面をみつめていました。そして井上氏が相手をみごとな一本で投げ勝つシーンが出てくると、どっとどよめいて、大きな拍手を浴びせたのです。4600人もの若いアメリか人男女が日本のイノウエにごく自然な拍手と歓声を投げかける光景は感動的でもありました。
アメリカの海軍士官学校といえば、世界最強を誇ったアメリカ海軍の幹部を養成する場所です。その教育の過程では日本海軍との死闘もあらゆる角度から取り上げられています。井上氏が校内見学で歩いた地点の一つには第二次大戦での日米海軍間のミッドウェー海戦を記念する大きな碑が設置されていました。そんな場所で日本からの柔道家が全校あげての歓迎を受けるというのは日本人としてはなんともいえない感慨を思わされます。ちなみにこの海軍士官学校を公式に訪問した日本の柔道家は戦後、井上康生氏が初めてだそうです。
杜父魚文庫
6658 柔道の井上康生氏がアメリカに「元気な日本」の新風、巻き起こす 古森義久

コメント
こんにちは
一方のニッポンにはダニエル・ケン・イノウエ民主党上院議員が来日されました。10日に内閣総理大臣に会ってあげたそうです。従軍慰安婦問題や普天間問題で苦言を提されているせいか新聞記事はとても小さめです。しかし明日13日から映画“442日系人連隊”公開されますので日本においても正しい歴史認識の一つになってほしいと思います。