菅首相は外交・安全保障面では日米同盟を深化させ、貿易・経済面では日中・日ロ関係を維持する方針をみせている。これは日本外交がユーラシア大陸の中国、ロシアとの外交に傾斜し、日米軍事同盟を希薄化させる鳩山由起夫氏や小沢一郎氏の外交路線とは異なる。むしろ前原外相の外交路線に近い。
胡錦濤国家主席との日中首脳会談では「日本の確固たる立場を申し上げた」と菅首相はしたが、具体的な中身については言及を控えた。またメドベージェフ大統領との日露首脳会談では、同席したラブロフ外相が「大統領は、感情的な表現は役に立たないため、これをやめるよう要請したうえで、経済を優先するよう提案した」と記者会見で述べている。いずれも英ロイター通信が伝えた。
外国から賓客を迎えたのだから、ホスト国の菅首相が喧嘩腰で日本の主張をぶつけるわけにはいかない。柔らかい表現で日本の立場を主張し、戦略的互恵関係を進める前向きな考え方を示したのであろう。当然のことながら菅首相は日本の国民感情に気を配った首脳会談となった。
日米首脳会談でオバマ米大統領は日本の国連常任理事国入りを支持し、来年春の菅首相の訪米を招請した。メドベージェフ大統領からも菅首相のロシア訪問を招請している。しかし胡錦濤国家主席からは菅首相の北京訪問を招請する言葉はなかった。
日中の対立をこれ以上は激化させない両国首脳の配慮は窺えるが、日米関係の修復が進めば、相対的に日中関係は冷え込んだままになるであろう。むしろインドや東南アジア諸国との経済協力関係が進む気配がある。それを日米が提携して進める方向性がみえてきた。
■日中首脳会談は・・・
[横浜 13日 ロイター] 菅直人首相と中国の胡錦涛・国家主席は13日夕、横浜市内で会談した。日本の政府高官は、尖閣諸島を巡る問題について菅首相から「日本の確固たる立場を申し上げた」としたが、具体的な中身については言及を控えた。
会談は午後5時過ぎから20分超行われた。政府高官は「日中首脳会談が行われたことを含めて、日中の関係改善に向けて大きな一歩を踏み出した」との見解を記者団に明らかにした。
また、両首脳は2国間の戦略的互恵関係の重要性や経済を含む世界的な課題について協力を強化していくことなどで合意した。
会談では、1)長期的に安定した日中の戦略的互恵関係の発展は、両国国民の利益に合致するとともに、地域と世界の平和と発展にとって重要、2)政府間・民間分野での協力の一層の促進、3)G20・APECでの議論を踏まえ、経済分野を含むグローバルな課題での協力をさらに一層強化する--ことで合意した。
■日露首脳会談は・・・
[横浜 13日 ロイター] ロシアのメドベージェフ大統領は13日、菅直人首相と会談し、領土問題で感情的な表現を使うことを止めるよう要請した。ロシアのラブロフ外相が、記者会見で明らかにした。
ロシア外相は「大統領は、感情的な表現は役に立たないため、これをやめるよう要請したうえで、経済を優先するよう提案した」と述べた。
ロシア外相によると、メドベージェフ大統領が国後島を訪問したことについて、菅首相は遺憾の意を表明した。また、メドベージェフ大統領は菅首相にロシア訪問を招請し、菅首相はこれを受け入れた、という。
一方、福山哲郎内閣官房副長官は会談後、ロシア大統領の国後島訪問について菅首相が首脳会議の場で抗議したことを明らかにした。
福山官房副長官によると、菅首相は首脳会談で、大統領の国後島訪問は日本の立場や日本国民の感情から受け入れられないと抗議。大統領は、領土問題はロシアにとっても極めて神経質な問題だと述べるにとどめた。
そのうえで菅首相は、北方四島の帰属問題を解決して平和条約を締結したいと発言。それに対して大統領は、あらゆる分野で協力し、特に経済分野での関係を発展させることで、両国の雰囲気を改善していくべきだと応じた。
会談は午後6時過ぎから40分程度、アジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議の合間に行われた。(ロイター)>
杜父魚文庫
6672 インドや東南アジア諸国との経済協力関係が進む気配 古沢襄
未分類
コメント