国際的なニュースは当該国の発表を一応はみるが、発表ジャーナリズムを必要以上に信じない方がいい。それぞれの国が自国の利益にかけて、都合のいいことは喧伝し、都合の悪いことは隠すからである。横浜市で開かれたAPEC(アジア太平洋経済協力会議)首脳会議については、イギリスのロイター記事に基づいて杜父魚ブログで伝えたのは、そのためである。
菅首相と胡錦濤国家主席との日中首脳会談、メドベージェフ大統領との日露首脳会談もロイター記事に拠ったが、韓国の中央日報の記事も同様の観点で掲載してみた。
真の国益は客観的な判断が必要である。自国に有利なバイヤスをかけた愛国ニュースは、国民の正確な判断の妨げになる。さきの大戦で日本海軍はミッドウエー海戦で壊滅的な打撃を受けたが、国民がそれを知ったのは敗戦後のことである。
大本営の発表をたれ流しにした日本の新聞やラジオの責任は大きい。だが、最近になって政権維持のために菅内閣は、都合のいいことは喧伝し、都合の悪いことは隠す傾向がみえる。もともと左翼政権には、この傾向があるので、メデイア側は発表ジャーナリズに堕しない真実の報道に徹する覚悟が求められる。
どんなことであれ、報道規制の気配がある政府側の蠢動には厳しく抵抗する必要がある。その意味で仙谷官房長官はメデイアにとって要注意人物と言わざるを得ない。
<「変化と行動」をテーマに13~14日に横浜で開かれたアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議では、領土紛争で対立を生じさせている日中・日ロ首脳間の会談が実現し目を引いた。
劇的に行われた日中会談=当初中国政府は尖閣諸島(中国名・釣魚島)をめぐり緊張が高まった日本との首脳会談に否定的だったが、13日午後に電撃的に両国首脳会談が行われた。
14日の記者会見で日本の菅直人首相は「胡錦涛中国国家主席に『尖閣諸島はわが国固有の領土であり、この地域に領土問題は存在しない』という基本姿勢を明確に伝えた」と話した。菅首相はまた、「胡主席とは戦略的互恵関係を新たに推進していくことを確認した。
基本的には(菅首相が)就任した6月まで(日中関係を)戻すことができたと考える」と評価した。しかし朝日新聞は14日、「両国首脳会談は22分で終わったうえ、領土問題をめぐる意見の相違が大きく、関係改善の前途は見えない状態だ」と報道した。
日中首脳会談が開かれた13日、APEC首脳会議場の横浜では日本の市民3000人余りが通りを占拠し中国糾弾デモを行ったりもした。
成果ない日ロ会談=菅首相はまた、ロシアのメドベージェフ大統領とも13日夜に首脳会談を行い、領有権紛争を起こしているクリル列島(日本名・北方領土)に対する日本の立場を伝えた。
菅首相は43分間の会談で、メドベージェフ大統領が1日にクリル列島のひとつのクナシル(日本名・国後島)を訪問したことに対し、「日本国民の感情上受け入れることはできない」と抗議した。これに対しメドベージェフ大統領は「どの地域を訪問するのかは私が決める。感情的行動では事態を改善できない」と一蹴した。(中央日報)>
杜父魚文庫
6680 都合のいいことは喧伝し、都合の悪いことは隠す 古沢襄

コメント
古沢さんは昔とった きねずか で、しっかり眺めることのできる 記事を紹介して下さるので、嬉しく思ってます。
確かに、当事者は自分の都合に合わせて書いたり放送したりしますから、真実が探しにくいです。
有難うございます。