6707 仙谷さん、よく言った!!! 古森義久

仙谷官房長官が日本の自衛隊を「暴力装置」と評しました。日本の自衛隊はいうまでもなく日本の国家や国民を守るために存在しています。だから日本に対する侵略や威嚇があれば、物理的な力でそれを防ぐこともあります。そういう物理的な力は国際的には軍事力と呼ばれますが、特殊な憲法に制約される日本では自国を守るための物理的な力でも軍事力とか戦力と呼んではいけないのでです。
その日本を守る組織の力を「暴力」と呼ぶのは、まさに日本国の敵の立場にたっての表現です。外部の勢力が日本に軍事的攻撃をかければ、反撃を受けるでしょう。その反撃は反撃を受ける側にとっては当然の報いとはいえ、「暴力」という語の広い範疇に入るかもしれません。
しかし日本国民からすれば、自衛隊の持つ力は自分たちの国や社会や生命を守るための「防衛力」です。その自分たちを守る力を「暴力」と呼ぶのは、明らかに日本とは相対する立場の側の表現です。
でも仙谷さん、よく言ってくれました。
この一言で、この人の拠って立つ思想や概念のすべてが明らかになったともいえます。この言葉ほど仙谷由人という人物の本質をわかりやすく示したものもないでしょう。彼には「日本」を自分の側とみなす日本人の大前提がないのだ、といえましょう。彼を日本国の内閣官房長官とみるならば、この発言はまさに亡国であり、売国です。
でも仙谷さん、民主党政権、菅内閣の官房長官は辞めなくていいですよ。仙谷さんがいまの地位にいてくれれば、菅政権の支離滅裂、国家概念不在、反日侮日傾向はますますあらわとなるからです。そうすればより多くの日本国民がこの政権の危険性に気づくでしょう。
仙谷さんは、日本国民にとっての「目覚まし時計」だといえます。最近の日本にとっての目覚まし時計は中国か、仙谷か、ですね。当然ながら、目覚まし時計はベルを鳴らしてこそ、その効用があります。だから仙石氏にもいまの地位でベルを鳴らし続けてほしいのです。もっとも目覚ましのベルがいつのまにか爆弾になって、寝ている日本人や日本国を負傷させる可能性には注意すべきです。そうなったら、あるいはそうなりそうだったら、時計自体を破壊するか、ゴミ棄て場に投げ出すか、せねばなりません。
本日の産経新聞にこの暴言についておもしろい評論記事が出ています。阿比留記者の記事です。以下に紹介します。
<<仙谷氏の本質あらわ 「自衛隊は暴力装置」 「社会主義夢見た」過去>>
仙谷由人官房長官は18日の参院予算委員会で、自衛隊を「暴力装置」と表現した。直後に撤回し「実力組織」と言い換えた上で「法律上の用語としては不適当だった。自衛隊の皆さんには謝罪する」と陳謝した。菅直人首相も午後の参院予算委で「自衛隊の皆さんのプライドを傷つけることになり、おわびする」と述べた。
首相は18日夜、仙谷氏を執務室に呼び「今後、気を付けるように」と強く注意した。特異な言葉がとっさに飛び出す背景には、かつて学生運動に身を投じた仙谷氏独特の思想・信条があり、民主党政権の自衛隊観を反映したともいえそうだ。(阿比留瑠比)
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「昔の左翼時代のDNAが、図らずも明らかになっちゃった」みんなの党の渡辺喜美代表は18日、仙谷氏の発言について端的に指摘した。
「暴力装置」はもともとドイツの社会学者のマックス・ウェーバーが警察や軍隊を指して用い「政治は暴力装置を独占する権力」などと表現した言葉だ。それをロシアの革命家、レーニンが「国家権力の本質は暴力装置」などと、暴力革命の理論付けに使用したため、全共闘運動華やかなりしころには、主に左翼用語として流通した。
現在では自衛隊を「暴力装置」といわれると違和感がある。だが、旧社会党出身で、東大時代は日韓基本条約反対デモに参加し「フロント」と呼ばれる社会主義学生運動組織で活動していた仙谷氏にとっては、なじみ深い言葉なのだろう。
国会議事録でも、「青春をかけて闘った学生を、自らの手で国家権力の暴力装置に委ね…」(昭和44年の衆院法務委員会、社会党の猪俣浩三氏)、「権力の暴力装置ともいうべき警察」(48年の衆院法務委、共産党の正森成二氏)-などと主に革新勢力が使用していた。
18日の国会での反応をみても、自民党の丸川珠代参院議員は「自衛隊の方々に失礼極まりない」と批判したが、共産党の穀田恵二国対委員長は「いわば学術用語として、そういうこと(暴力装置との表現)は当然あったんでしょう」と理解を示した。
民主党の岡田克也幹事長は「人間誰でも言い間違いはある。本来、実力組織というべきだったかもしれない」と言葉少なに語った。
仙谷氏は著書の中で、「若かりし頃(ころ)、社会主義を夢見た」と明かし、その理由としてこう書いている。「社会主義社会には個人の完全な自由がもたらされ、その能力は全面的に開花し、正義が完全に貫徹しているというア・プリオリな思いからであった」
仙谷氏は後に現実主義に「転向」し、今では「全共闘のときの麗しい『連帯を求めて孤立を恐れず』を政治の場でやるとすってんてんの少数派になる。政治をやる以上は多数派形成をやる」(7月7日の講演)と述べている。とはいえ、なかなか若いころの思考形態から抜け出せないようだ。
「ちょっと言葉が走った。ウェーバーを読み直し、改めて勉強したい」18日午後の記者会見で、仙谷氏はいつになく謙虚にこう語った。(注)「ア・プリオリ」は「先験的」の意味
杜父魚文庫

コメント

  1. toshi より:

    仙石さんは今、政権の中に入ってその中枢にいる。色んな言葉を用意していて機を見てしゃべるつもりである。
    意図的にやっている。
    菅さんも同じようなものだから心の中で賛同している。
    それは自民党がふがいないので危機感がないことに原因がある。色々と云って日本の国体を壊し、壊滅しょうとしている。その裏には中国等かって自分が学生時代に求めた世界があるのではないか。彼は目的に向かってどんどん進めている。これで良いのか、日本人は彼の意図を理解すべきである。決して失言ではない。

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