朝刊各紙の観測記事が面白い。毎日の「進退問題 民主党内で神経戦 参院小沢系、辞任に慎重」は常識的な現状解説。しかし産経は「柳田法相更迭へ 補正予算成立を優先 後任に小川副大臣の名」と踏み込んだ。
結局は柳田法相の更迭が避けられないと思うが、問責ドミノが辞任ドミノに広がれば、菅政権は立ち行かなくなる。小沢氏がいう来年一月、二月解散どころか年内解散の恐れが出てくる。そうでなければ、菅首相が退陣、新しいガン首を取り揃えて当面の危機を乗り切るしかない。それには民主党の衆参両院議員による代表選が急遽出てくる。小沢氏が狙っているのは、これであろう。
問題は柳田法相の更迭で一件落着になるかどうかに懸かっている。
野党の方も急テンポな動きに戸惑いがある。自民党も公明党も年内総選挙の準備が出来ていない。自民党は300選挙区候補者の公認も終わっていない。資金手当も不十分な現状がある。世論調査で菅内閣の支持率が急降下していることだけが頼りといえる。
しかし早々と後任の法相の名が新聞紙上で取り沙汰されたから、不確定要素には目をつぶって、菅首相は法相更迭に踏み切らざるを得ないのではないか。政治の世界は一寸先は闇だから、菅内閣は目の前にある黒い雲の中に無視界飛行で突入するのであろう。後は神のみぞ知るということか。
<柳田稔法相の進退問題を巡り、政府・民主党は19日、野党との駆け引きだけでなく、10年度補正予算案の成立を最優先させたい首相官邸・党執行部と、柳田氏を守りたい輿石東参院議員会長ら参院民主党幹部とが神経戦を繰り広げた。参院側には9月の党代表選で小沢一郎元代表を支持した幹部が多く、政権運営の主導権争いの様相も呈している。【野口武則、葛西大博】
「一刻も早く補正予算案を通すことが目的なので、大局に立ってしっかりと任務をお互いが果たしていくべきだ」。前原誠司外相は19日の記者会見で柳田氏の進退問題について聞かれ、補正予算審議の重要性を強調した。
前原氏は仙谷由人官房長官とともに菅政権の「脱小沢」路線を主導してきた主流派の立場。政権を守るためには「柳田氏の辞任やむなし」の意向をにじませたといえる。
渡部恒三元衆院副議長も記者団に「(問責決議案が可決されれば)辞めていただくしかない。その前に辞める選択もあるかもしれない」と自発的辞任に言及した。
官邸・党執行部は18日の段階では輿石氏ら参院側の対応を見守る姿勢をみせていた。輿石氏は同日、柳田氏に対する問責決議案に賛成する方針を決めた社民党の又市征治副党首に「何とかならないか」と電話したが、又市氏は「柳田氏は辞めさせた方が民主党のためだ」と辞任による決着を勧めた。
自民党は19日午前、政府・民主党が柳田氏の辞任に応じない場合、22日に参院で問責決議案を提出する方針を決定。19日午後の政府・民主党首脳会議を皮切りに官邸・党執行部と参院側との調整が本格化した。
同日午前の記者会見で「(問責が可決されても辞めないことも)選択肢としてはある」と野党をけん制していた仙谷氏も、午後の会見では「本人の意思」と突き放す発言に転じた。
官邸・党執行部が参院側の意向に配慮せざるを得ないのは、柳田氏の入閣が輿石氏の握る「参院枠」で決まった経緯に加え、参院で多数を握る野党との折衝にも輿石氏の協力が必要だからだ。輿石氏は自身が入閣させた柳田氏を守る姿勢を保ちつつ、情勢を見極めようとしている。
野党側から補正予算案の審議に応じる感触を得られないまま柳田氏を辞任させても、自民党が勢いづくだけだ。
さらに仙谷氏や馬淵澄夫国土交通相らの問責決議案の提出で揺さぶりをかけてくることも予想される。そのため参院民主党幹部の間には「問責可決で(国会審議が止まり)法案が廃案になれば、野党にも責任がある」とあくまで辞任を拒否する強硬論もくすぶっている。(毎日)>
<菅直人首相は19日、国会を軽視する発言が問題視されていた柳田稔法相を更迭する方針を固めた。首相ら政権首脳部は当初、柳田氏を擁護する姿勢を見せていたが、このままでは政府・与党が今臨時国会の最重要課題に位置付けている平成22年度補正予算の成立が危ういと判断した。民主党幹部は同日、柳田氏更迭に伴う国会運営に関して野党と協議を開始した。後任の法相には小川敏夫法務副大臣らの名前が浮上している。
民主党は柳田氏更迭の時期について、問責決議案提出前▽決議案提出直後▽決議案採決後-の3通りの選択肢を検討中だ。
自民党は同日の参院予算委員会理事会で補正予算案採決に応じる条件として(1)柳田氏罷免(2)自衛隊関連行事での民間人の政権批判を封じた防衛事務次官通達の撤回(3)小沢一郎元民主党代表の国会招致(4)中国漁船衝突事件のビデオ映像の公開-を挙げた。また、自民党幹部らは同日午前、都内のホテルで会合を開き、柳田氏が辞任しない場合、22日に衆院に不信任決議案、参院に問責決議案をそれぞれ提出することを確認した。
これに対して、柳田氏は改めて辞任しない考えを示し、菅首相も19日夜、「本人も深く反省して、『誠心誠意、頑張りたい』と言っている。頑張ってもらいたい」と、擁護する構えをみせた。だが、仙谷由人官房長官は同日の記者会見で、問責決議案が可決された場合について、「本人の意思だ。その時点でどういう意思なのか、状況次第で予測はしかねる」と柳田氏辞任に含みを残した。また、民主党の渡部恒三最高顧問は同夜、「(柳田氏は)同情に値しない。(可決されれば)辞めていただくしかない。その前にも辞める選択肢はある」と述べた。
一方、表向きの動きとは別に、官邸サイドと民主党幹部は19日に会談し、補正予算成立を最優先する方針で一致した。さらに、民主、自民両党の幹部が同日会談。民主党側は柳田氏更迭と引き換えに補正予算案採決に応じるよう要請したが、自民党側は拒否した。
政府・民主党は同日、後任法相の人事調整に着手した。複数の幹部が小川氏の名前を挙げている。(産経)>
杜父魚文庫
コメント
国の経営が極めてむつかしい時に入っているとゆう認識が今の政治家に希薄なのでしょう。
大臣がバッチになっていると思えます。
菅総理が、法務なら法務に精通した人を、どこの党に所属していても見つけて、大臣をお願いするーーー日本の政治家が日本のために真剣に働く体制を、このようにしてつくりあげてもらいたいーーと思います。