6712 中国バブルいよいよ崩壊へ  宮崎正弘

中国、預金準備率を18・5%へ引き上げ、物価抑制へ決断。この結果は3500億人民元の貸し出し凍結、バブルいよいよ崩壊へ。
2010年11月19日、中国人民銀行は「預金準備率を18・5%へ引き上げ、11月29日から実地する」と発表した。引き上げは年初来五回目、この二週間で二回目という異常事態!上海株式は過去一週間に10%下落した。
すでに今月に一回引き上げられているから、短期間で二回連続の預金準備率引き上げはきわめて異常だ。17日に国務委員会が発表した『インフレ抑制に本腰を入れる』というアナウンスメントをうけての措置だけに投資家に狼狽の色は見られない。
表向きの理由を中央銀行は「インフレ抑制」とした。物価上昇は公式統計で4・4%、しかし実際には10%近い諸物価高騰、庶民は悲鳴をあげている。
食料品、野菜の高騰が目立ち、それが政府批判に繋がることを怖れているのは明瞭である。
通貨供給を増やしてきたため、理論的にはあり得ない需給バランスを無視して、不思議に不動産価格が上昇し続けた。
がむしゃらに通貨供給量を増やして、(富裕層だけのために)不動産価格を人工的につり上げてきただけで、実態として取引は激減、それは中国の主要都市の不動産業者が真っ青な顔をしていることからもわかる。
筆者の経験でも北京のビジネス街のど真ん中で、店先はがらんとしている。深センでは看板をみていただけで店員が飛び出してきた(詳しくは拙著『上海バブルは崩壊する』(清流出版)を参照されたい)。
この中国の預金準備率の引き上げは「3500億人民元もしくは530億ドル(邦貨換算で4兆5000億円内外)の貸し出しが凍結されることを意味する」(ヘラルドトリビューン、11月20日付け)。
実際に昨年の銀行貸し出しは前年比32%増加、ことしは20%増加の勢いにあった。政策転換となれば銀行は『引きはがし』に移らざるを得ず、不動産価格の暴落は確実に開始される。すでに上海株式下落が先行している。
ところで、日経新聞(20日付け)は致命的欠陥がある。「0・5%切り上げ」のニュースが一面と六面に配されながら、何パーセントになったかの数字が欠落し、また幾らの凍結になるかの具体的数字の列挙がなかったことだ。
   
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(読者の声)FRB議長のバーナンキが、フランクフルトで爆弾発言をする。“米中貿易が不均衡なのは人民元を不当に低く設定して、米国の忠告に耳を貸さない。米中だけではなく、世界経済を不安定にしているのは、中国政府の人民元政策にその原因がある。中国が不動産バブル崩壊、オイル・食品の価格高騰に面しているその原因も人民元政策が原因だ”と。
このスピーチは、米中貿易戦争への宣戦布告です。ここにアメリカの国際政治のやり方を見る。まず、日本で政権交代が起きると見た超党チームの、ジョゼフ・ナイとリチャード・アーミテージが東京にやってきて、小沢らをホテル・ニューオータニに呼びつけた。
“沖縄に手を出すな”と釘を刺すためだった。次に新国務長官となった日ラリーが、東京へきた。ヒラリーは、まず、大好きな美智子皇后に会いに宮城に行った。東京を出て北京に向かう前日に、小沢を呼びつけた。“
会う理由がない”などと小沢は避けていたが、土壇場で応じた。ヒラリーの目的はひとつ。ナイとアーミテージ訪問団と同じように、小沢を恫喝した。オバマは麻生さんと仲が良かった。だが、仕方なく、鳩山に会った。
やはり、沖縄の解決を迫った。ご周知、菅に代わっても沖縄は未解決です。中国は、日本とアメリカの不仲を好機と見た。
中国経済に影が射し始めたのもこの頃です。経済格差、失業に、中国国民がぶつぶつ言い出した。不満ガスが国内に溜まってきた。ガスを抜かんといけない、東・南シナ海へ版図を広げることを選んだ。ついに尖閣で紛争が起きた。
日本人を捕虜にしたり、レアアース禁輸を強行する中国を見た。米国議会は、“今日の諸問題は全て中国が原因だ”と。つまり、中国は敵性国家だと決めた。
先月、まずヒラリーは、ハワイで前原外相に会った。その後、東南アジアを歴訪した。ベトナムのハノイで開かれた「アジア安全保障会議」をスタートラインに、対中国包囲網計画を実行した。
最期に、海南島で中国人民軍の頭目と会ったが、“USがアジアから出て行くことはない。南シナ海だけでなく、海上通行の安全および、地域の安全はアメリカの国益に沿ったものだ”とやはり、釘を刺した。この間、ワシントンでは、“人民元を切りげろ”の大合唱が始まっていた。
同時に日米とベトナム政府は原子力発電所を提供することで合意している。ベトナムは、お返しにレアアース鉱権を約束した。
後発のオバマは、北京を素通りして、まず、インドへ行った。これは、中国には痛い。インドは中国の裏庭の上に水資源の上流。かの、メコン河を巡る紛争は、必ず戦争に発展する。来夏、ベトナムへ行く。カシミールに足を伸ばしてメコンの上流を見たい。人民元に戻れば、オバマも、ソウルで、人民元に苦情を言っている。
人民元切り上げ要求は、ガイトナーが第一走者だった。何度も、北京へ行き要求した。その間、世界通貨米ドルの皇帝であるバーナンキ連銀議長は、政治介入になるので、人民元に口を出さなかった。
だがついに、暗黙の許可が出たのであろう。オバマが大統領であっても、ガイトナーが財務長官であっても、こと「USD・vs・RMB」の為替戦争のアメリカ側の最高司令官は、バブルのベン(バーナンキFRB議長の愛称)である。
連銀議長の対中国・宣戦布告に北京はどう返答をするだろうか?ついに、米中の不仲は明らかになった。ぼくは、NY株相場の行方が気になる。だが、「アメリカ一極主義」は決して悪いと思わない。
日本にとっても、方向が定まるからだ。増長した中国はよくない。日本へ来る中国人観光客も、池袋中華街も要らん。最期に、ひとこと。どうも、思っていたように、「保護主義」がWTOを押し返すようですね。日本の道は、ひとつ。ウエストと親日国家と仲良くやることです。(伊勢ルイジアナ)
(宮崎正弘のコメント)六月から七月にかけて米国の対中戦略は静かに方向転換しています。今度のオバマのインド訪問が、対中封じ込めのあからさまな表現、その前にオバマは正式にダライラマ法王とホワイトハウスで会見した。その直後からヒラリー国務長官の強硬発言が連発されます。
 
杜父魚文庫

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