6720 皮を斬らせて骨を断つ菅政権の戦術? 古沢襄

各種世論調査をみても柳田法相の辞任を求める声が70%前後にのぼっている。黄門様の渡部恒三氏も辞任論。民主党の支持者にかぎっても辞任を求める方が多い。自民党の石原幹事長は柳田法相が自発的に辞任すれば、補正予算の参院審議に応じると変化球を投げてきた。
これだけを見れば柳田法相の辞任で混迷している政局を打開するのが、いいかに見える。だが、現実はそうはならない。国民新党の亀井代表は柳田法相の問責決議案が参院で可決されても、無視すればいいと強硬論を唱えた。参院のドンである輿石参院議員会長も柳田辞任に反対している。
国会は与野党の力関係の中で動く。柳田辞任ですべてが決着し、補正予算の審議で動くとは限らない。法相の首をとった野党が勢いづいて、次の首である仙谷官房長官らの問責決議案で攻勢の火の手をあげてくる可能性がある。
一歩後退すれば、二歩、三歩と攻め込まれる。それなら伝家の宝刀である解散カードを切って雌雄を決するしかない。選挙準備が整っていない野党の足元を民主党はみていた。解散カードをちらつかせれば、野党は腰くだけになるだろうと・・・。
だが、その矢先にJNNの首都圏世論調査で民主党の支持率は20%を割り、18・4%。自民党の支持率は30%を回復して30・0%になった。菅内閣の支持率は26・6%に転落、不支持は66・2%という衝撃的な結果が永田町を駆け巡った。
これでは解散カードが使えない。野党の方が菅政権の足元をみる立場に変わった。解散がないのら押して押しまくる主戦論が強くなっている。
結局は補正予算案の自然成立を狙って民主党は国会会期の延長という手段をとるのではないか。柳田法相の問責決議案が可決されれば、野党は柳田法相が出席する国会審議に応じるわけにはいかなくなる。国会審議はストップするであろう。
だが会期を延長すれば、補正予算案の自然成立が担保される。他の法案の成立はあきらめるしかない。野党が国会審議を拒否し続ければ、世論の風向きが変わってくるかもしれない。しかし、これによって菅内閣の支持率がV字回復する可能性はゼロに等しい。皮を斬らせて骨を断つ戦術は、菅政権も手傷を負うことになる。
杜父魚文庫

コメント

  1. 柴わんわん より:

    選挙権を有して以来、基本的に反自民だった私が自民党を見直し支持する契機となったのが福田康夫元総理です。
    「ねじれ」のため審議は進まず、暫定税率問題・日銀同意人事・サミット主催前の問責可決など野党の横暴を見て、民主党への信頼は皆無になりました。
    今、また同じことが繰り返されてます。
    野党慣れしていない自民党。自民党と同程度の大臣の同程度のセリフを、鬼の首を取ったかのように騒ぎ立て、国民が一番心配している経済問題を放置しています。過去の自分たちの政権運営の失敗を全て忘却しているかの対応をとり、年末の資金繰りに困る国民経済から乖離した問責・辞任一辺倒の国会運営をすれば中長期的には又、失望を呼び起こします。
    外交でも財政でも経済政策でも、自民党には経験に基づいた智慧があると思います。与党民主党が抱きつかざるを得ないような素晴らしい政策を提示し、政策能力によって信頼を回復させるのが風任せでない確実な政権奪回につながると思います。
    情けない与党に情けない対応をするという愚行を繰り返し、さらに混迷の度を深めるような時間があるとは国民は感じていません。与党も野党もなく挙国一致で現下の外交・経済問題にあたって欲しいです。

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