【ソウル9日聯合ニュース】北朝鮮は黄海上の北方限界線(NLL)に近い海岸や島などに海岸砲1000門余りを配置していると、韓国軍は把握している。
白翎島(ペクリョンド)に近い長山串や甕津半島、延坪島に近い康リョン半島の海岸をはじめ、麒麟島、ウォルレ島、大睡鴨島などに900門余りの海岸砲が配置されているほか、軍港の海州港一帯だけで100門余りが集中している。
これら海岸砲は、射程27キロメートルの130ミリ砲、射程12キロメートルの75.2ミリ砲が代表的で、一部地域には射程27キロメートルの152ミリ地上曲射砲も配置されている。また、射程83~95キロメートルの地対艦ミサイル「シルクワーム」「サムレット」も多数ある。
白翎島は、長山串との距離が17キロメートル、76.2ミリ海岸砲(射程12キロメートル)が配置されるウォルレ島との距離は12キロメートルにすぎない。延坪島から康リョン半島の沖の島までの距離は13キロメートルほど。白翎島と延坪島、いずれも北朝鮮の海岸砲の打撃圏内にある。
また、北朝鮮は洞くつの中にも海岸砲を設置している。長さ5メートルのレールで前後に移動するこの海岸砲は、射撃前に洞くつ入口を開放しカモフラージュの幕を外すため、韓国軍はこれを対歩兵レーダーで事前に感知することができる。
北朝鮮は1月27~29日、白翎島と延坪島付近のNLLに向け海岸砲、放射砲、自走砲などで400発余り砲撃した。昨年1月には、朝鮮人民軍荘参謀部報道官が「対韓国前面打撃態勢侵入」声明を発表した直後、大睡鴨島付近の海上で1000発余りの砲撃を行った。(聯合)>
北朝鮮による延坪島に対する砲撃の前に韓国の聯合ニュースが北の海岸砲について触れていた。だがこの海岸砲に多くの女子兵士が動員されているのは、あまり知られていない。
北朝鮮の人口は約二〇〇〇万、韓国人口の半分にも満たない。高句麗の伝統を継承している北朝鮮は男女皆兵、しかも前線の戦闘部隊に女性兵士がついている。多くの国にも女性兵士がいるが、戦闘職種にはいない。自衛隊でも女性兵士は前線の戦闘部隊ではなく、後方業務につくのが普通である。男性兵士に較べて体力の劣る女性だから、男女同権といっても戦闘職種にはつけないのが軍事常識といえる。
しかし北朝鮮は1990年代から女性兵士の比率が急増し、とくに前線部隊に随伴する高射砲、自走対空砲を除く高射砲部隊は女性兵士によって操作されるようになった。言葉をかえれば防空部隊は女性兵士によって担われている。
この女子高射砲兵の伝統が野戦砲兵である海岸砲部隊にも広がっている。この情報は脱北した北朝鮮将校によってもたらされた。北朝鮮が警戒しているのは米軍による上陸作戦なのだが、阻止の主役は対艦ミサイル部隊と女子沿岸砲兵部隊になっている。
金正日総書記は女子沿岸砲兵部隊を重視して、たびたび視察している。延坪島の砲撃の前に金正日総書記が部隊の視察を行ったという情報もある。北朝鮮の軍制はソ連赤軍によって作られ、金日成時代には敵を上陸させて陸上で迎え撃つロシア的な軍事戦略に拠っていたが、金正日総書記になってから洋上阻止の防衛戦略に変わった。
海岸砲が日本海側と黄海側に作られ、多くの女性兵士によって操作・訓練が実施されている。海岸砲はコンクリートの遮蔽や洞くつの中に隠されている。ただ、洋上からの正面攻撃には有効だが、海岸砲の後方に落下傘部隊が降下される弱点がある。
<北朝鮮が23日に延坪島を砲撃する直前、金正日(キム・ジョンイル)総書記と三男・正恩(ジョンウン)氏が、西海(黄海)地域を担当する第4軍団管轄の黄海道(黄海南道)海岸地域を訪問し、金格植(キム・ギョクシク)第4軍団長と面会したとの情報を、韓国軍当局が入手し、分析を進めていることが分かった。
国会国防委員会の要職を務める関係者は24日、「軍の情報当局がこの内容を入手し、今回の延坪島砲撃との関連性を分析していると聞いている」と語った。
同関係者はまた、「軍当局は、今年3月の哨戒艦『天安』沈没事件の直前にも、金総書記が現地指導の過程で、韓国に対する軍事工作を主導してきた金英徹(キム・ヨンチョル)北朝鮮偵察総局長と会ったとの情報を確認しており、金正日父子が今回の黄海道訪問で金格植氏に会い、延坪島への砲撃計画を点検・推進した可能性に注目している」と話した。(朝鮮日報)>
杜父魚文庫
6750 北朝鮮の海岸砲は多くの女性兵士が操作している 古沢襄

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