6784 「北は日本より悪い」 英紙記者、韓国紙に異例の寄稿 古沢襄

黒田勝弘ソウル支局長の久々のレポート。英国紙記者の韓国紙への寄稿文を取り上げている。韓国紙をほとんど目を通しているが、黒田氏が指摘した朝鮮日報のこの記事は見逃していた。
日韓関係はかつてないほど友好的な雰囲気に包まれているというが、一皮めくれば根強い”反日”で固まっている。韓国紙の基調は”反日”。英紙タイムズ・ソウル特派員のアンドリュー・セーモン記者の目には、「韓国国民が日本より北朝鮮に同質感を感じるのはおかしい」と映る。
金大中・盧武鉉政権下で北との融和策が進められた。その根底には第二次朝鮮戦争が勃発すれば、最初の九十日間で韓国軍の死傷者が四十九万人にのぼるというペンタゴン報告書の恐怖がある。戦争を回避するために北との融和策を推進して、朝鮮半島での統一国家を目指す国策が生まれる。
東西ドイツの統一国家のような政治形態を朝鮮半島でも実現しようとする理想である。その金大中・盧武鉉路線が失敗し、韓国は独自の通商国家として躍進しようとしている。北朝鮮は中国との関係を深め、中国側からみれば衛星国家になる道を進んでいる。両国はむしろ対立関係になった。東西ドイツの統一とは根底から異なる。
英国紙記者は「現代の日本は北朝鮮よりむしろ韓国と似ている点が多く、韓国は北朝鮮よりはるかに日本に近い」と合理的な思考で分析している。そこから「韓国国民が日本より北朝鮮に同質感を感じるのはおかしい」という批判が生まれる。
日本からみれば至極常識的な考え方なのだが、”反日”の韓国社会ではまだ受け入れられない思考なのであろう。だが黒田氏は「日本との比較論の形で北朝鮮を批判する論評が韓国メディアに登場するのはきわめて異例」と朝鮮日報が英国紙記者の寄稿文をあえて掲載したことに注目している。
【ソウル=黒田勝弘】「北朝鮮は日本帝国主義よりもっと多くの韓国人を殺した」「韓国国民の価値観や人生体験、ライフスタイル、文化は北朝鮮より日本にはるかに近い」-。韓国で最近、韓国人の日本観と北朝鮮観を批判した英国紙記者の韓国紙への寄稿文が話題になっている。
英紙タイムズ・ソウル特派員、アンドリュー・セーモン記者が北朝鮮による延坪島砲撃に関連し、朝鮮日報(27日付)に寄せた論評だ。韓国人が北朝鮮に“連帯感”を感じる一方で、日本に対していつも否定的な見方をしてきたことを批判している。
論評は「砲撃事件にもかかわらず、ソウルの日常として日本大使館前では元慰安婦の老女たちによる日本批判の定例デモが静かに行われていた」と指摘した後、「韓国国民が日本より北朝鮮に同質感を感じるのはおかしい」と批判。
飢餓と強制収容所の“ファシスト国家”である北朝鮮に比べ、日本は「今や世界で最も平和志向の国」であり、「現代の日本は北朝鮮よりむしろ韓国と似ている点が多く、韓国は北朝鮮よりはるかに日本に近い」と強調している。
そして「北朝鮮は戦前の日本と似ている」とし、過去の日本を批判した上で、「違いといえば、日本帝国主義時代に日本のため死んだ韓民族の数より北朝鮮が殺した韓民族の数がもっと多いということだ」と指摘。北朝鮮による朝鮮戦争や飢餓、テロ、拉致、哨戒艦撃沈、延坪島砲撃での犠牲を例に挙げている。
内容自体は外国人にとっては常識的なものだが、日本との比較論の形で北朝鮮を批判する論評が韓国メディアに登場するのはきわめて異例だ。
セーモン記者の北朝鮮批判は激しく、「北朝鮮は共産主義国家ではなくファシスト国家だ。宣伝扇動、純血主義の主体思想、権力層の特権などはナチス指導者たちも敬礼をするほどだ」と、こき下ろしている。
杜父魚文庫

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