6822 国内にいる日本人と海外邦人との落差　古沢襄

極東アジアが「火薬庫」と化している・・・杜父魚ブログにアクセスしてくる海外邦人は２６カ国にのぼる。上位は①United States（米国）②China（中国）③South Korea（韓国）④Australia（豪州）⑤Canada（カナダ）⑥Germany（ドイツ）⑦Indonesia（インドネシア）⑧Singapore（シンガポール）⑨Thailand（タイ）⑩United Kingdom（英国）の順。アクセスしてくる記事は朝鮮半島情勢に集中している。
国内にいる私たちよりも海外の邦人の方が危機感がある。
「北朝鮮がロケット砲と戦車を増強配備」は韓国の聯合ニュースだが、私たちは北朝鮮が三八度線を越えて南進してくるとは予想していない。ソウルを火の海にするというのは北朝鮮の常套語だが、それはあり得ないとばかり、ソウルを訪れる日本人観光客は増えている。ロケット砲と戦車の増強配備は、韓国に食糧を寄こせというブラフだろうと深読みしたがる。
「経済支援中止と実弾演習の再開」は中央日報や東亜日報の記事だが、実弾演習の再開は、北朝鮮を刺激しない韓国軍の配慮があるから軍事衝突には至らないとみたがる。だから菅首相は「トマトを食べる写真と菅日記」となる。
「韓国全土の２９カ所で海上射撃訓練が始まる」は日本のマスコミが大きく取り上げているが、北朝鮮が即座に海岸砲を発射する過剰反応をしなかったので、戦争は回避できるとホッとしている。いわば軍事ゲームのようなものだから、という安心感がどこかにある。
だが、海外の邦人は杜父魚ブログだけでなくユーチューブなどの映像メデイアを丹念にみていて、日本は火薬庫の上に座っていると、コメントを寄せてきている。海老蔵さんが殴られて入院した芸能ニュースで連日騒いでいる時か、とお叱りを受ける。海老蔵さんのことは馬鹿らしいので記事にしたことはないが、海外ではグーグル・ニュースなどでご存知らしい。
海外では英ロイター通信社のニュースがよく読まれている。たとえば次の記事。
＜［北京　６日　ロイター］　中国の新華社によると、胡錦濤国家主席は米大統領との電話会談で、朝鮮半島情勢について、適切に対処しなければ制御不能なまでエスカレートする可能性があり、強く懸念していると表明した。
新華社は胡主席の発言として、「とりわけ現在の状況下で、適切に対処しなければ、朝鮮半島の緊張は大きく高まるか、制御不能になる可能性があり、だれの利益にもならない」と伝えた。
主席はまた、「現在の最も差し迫った課題は、落ち着いて状況に対処すること」だと述べたという。（ロイター）＞
安心して火薬庫の上に座っていると”制御不能なまでエスカレートする”と本気になって心配している。中国新華社の情報操作ではないか、という気持ちがこちらにはあるが、それにしては日本政府の反応が鈍い。菅首相の記者会見からも、それが伝わってこない。トマトを食べているのがニュースになる日本は、平和の温室で一億三〇〇〇万が居眠りの最中ということか。
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