ノーベル平和賞直前のチャイナ・ジョークの凄み。孔子平和賞に「両岸の窓を開いた功績」と台湾の連戦元副主席に。
台湾の連戦オフィスも狐につままれた。「孔子平和賞って何? え。なんで連戦が受賞?え、明日(本日九日のこと)授賞式? まったく聞いていません」。
誰も知らない「孔子平和賞」。誰か設定したかさえ不明である。
孔子平和賞なる新平和賞を設置すると報道したのは『環球時報』(人民日報系)で11月15日のことだった。爾来、なんの続報もなかった。選考委員会ができたらしいこと、責任者が譚長流という人物らしいこと。中国文化省の外郭団体らしいこと。ほかに一切の報道はなかった。
「中国文化省の担当者も、そんな委員会聞いたことないです」とAP通信のインタビューに回答した。
8日、突如、孔子平和賞選考委員会なる団体が発表を行い、「第一回孔子平和賞は台湾の元副主席の連戦(国民党名誉主席)に与えられる。授賞式は9日(スェーデンの本物の式典前日)、「中国のどこかで行われ、賞金は十万元(130万円)」(多維新聞網、9日付け)。
しかもご丁寧に「候補」となったのはネルソン・マンデラ、ビル・ゲーツ、パンチェン・ラマ、モホメド・アッバスPLA議長、ジミー・カーター元米大統領ら大変な著名人の名前が並んでいた。
勝手に名前を連ねて権威付けを狙ったという思惑が透けて見える。
本物のノーベル平和賞式典へは北京の政治工作によりロシア、パキスタン、イラク、アフガニスタンなど十九カ国がボイコットする。
思い出したことがある。ソ連は1925年―91年「レーニン平和賞」なるへんてこな賞があった。この賞は1940-54年にかけて「スターリン国家賞」といわれた。スターリン批判以後、昔の名前に戻り、日本からも左翼活動家だった大山郁夫、総評の大田薫らが受賞した。世界的に何の権威もなく、多くの国民からは違和感があった。
杜父魚文庫
6837 「孔子平和賞って何?」 宮崎正弘
宮崎正弘
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