中国の民主活動家の作家、劉暁波氏にノーベル平和賞が授与されることになりました。しかし中国政府は劉氏を「国家転覆罪」で懲役11年の刑に処し、現在、拘留中です。
しかも中国政府は10日にノルウェーのオスロで開かれるノーベル賞の授与式をボイコットすることを各国に呼びかけています。劉氏自身も劉氏の家族も、もちろんその式に出ることは阻まれるわけです。
アメリカ議会がこの中国政府の動きに対し、強い反対を表明しています。国際的に保証された人間の基本的権利の尊重という普遍的な立場からの意見の表明です。
わが日本では仙谷由人官房長官がこうした抗議の表明に対しても「けしからん」と、中国政府の代理人のような言明をしています。結果として人権弾圧を支持する言明です。アメリカ議会でのその動きの一端を以下に紹介します。
〔ワシントン=古森義久〕米国議会下院の超党派議員団が7日、ノーベル平和賞の中国人作家、劉暁波氏の拘束について中国政府を非難する声明を発表するとともに劉氏の即時解放を求める決議案を審議に付し,8日、可決した。
劉氏への授賞式は10日にノルウェーで催されるが、中国政府は劉氏の拘束を続けるだけでなく各国政府に対し授賞式への参加を止めることを求めている。
7日は米国下院本会議でクリス・スミス議員(共和党)、デービッド・ウー議員(民主党)ら30人が共同で提案した劉氏のノーベル平和賞受賞を祝い、中国政府に同氏らを始めとする政治犯全員の即時解放を求める決議案が審議された。8日には下院本会議で圧倒的多数で可決された。
スミス議員は7日、下院内でウー議員ら4人の議員と合同で記者会見し、「劉氏は平和的手段での中国の民主化を訴えただけで中国政府の主張する国家転覆罪には相当しない」と中国当局の措置を人権弾圧だとして非難した。
フランク・ウルフ議員(共和党)は中国政府が劉氏の拘束を続けることに対し「これまでノーベル平和賞の受賞を自国政府に妨げられたのは1935年のドイツのフォンオシエッチ氏、75年のソ連のサカロフ氏、91年のミャンマーのスーチー氏だけで、劉氏がこのままだとそれに加わる」として中国当局の授賞式妨害キャンペーンを止めることを求めた。
ウルフ議員はさらに「中国政府の要請に応じ、授賞式への不参加を表明したのはロシア、カザフスタン、キューバ、モロッコ、イラクの5カ国だが、これら諸国にも抗議する」と言明した。
ジェームズ・マクガバン議員(民主党)も中国政府が授賞式ボイコットの動きに対し「米国政府が公式に中国政府に抗議して、この妨害工作をやめるよう圧力をかけるべきだ」と主張した。
この記者会見では民間の「人権ウォッチ」「アムネスティー・インターナショナル」「国境なき記者団」などの団体の代表も登壇し、中国政府への抗議を述べたほか、中国で民主活動にかかわり長年、拘束されたハリー・ウー氏も劉氏支援の演説をした。
杜父魚文庫
6840 アメリカ議会がノーベル平和賞の劉氏に関して中国政府を非難 古森義久

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