茨城県議選がきょう投開票を迎える。地方の県議選が中央政界でこれほど注目された例はないのではないか。しかし、地元で見ているかぎりさほどの盛り上がりに欠ける。興味があるのは、ここにきて突然出てきた民主党内の”小沢斬り”の動きが、選挙結果にどう作用するかである。
保守王国といわれる茨城なのだが、民主党は公認23人、推薦1人を擁立して選挙期間中は岡田幹事長や鳩山前首相、蓮舫行政刷新担当相ら国会議員が相次いで来県し、国政選挙並の応援態勢を敷いた。
一方、自民党は現職10人が引退し、公認36人、推薦8人を擁立して民主党攻勢を迎えうつ。この地でまだ人気がある麻生元首相あるいは石原幹事長が来県した。
”脱小沢”で菅内閣の支持率がV字回復したことがあったが、”小沢斬り”効果が出るのであろうか。民主党が大量当選を果たせば、菅首相、岡田幹事長、仙谷官房長官らは一気に小沢氏の国会招致を加速させるであろう。小沢氏が国会招致を拒絶すれば、離党勧告にまで至るかもしれない。
逆に選挙結果が民主党の惨敗ということになれば、民主党内の小沢支持グループの反撃を招き、深刻な党内抗争が表面化する。小沢氏は民主党の惨敗を予測している。
もうひとつ見逃せないのは水面下で民主党と自民党の大連立構想が再度頭をもたげていることである。福田内閣の当時の2007年に表面化した大連立構想は小沢氏が乗り、福田・小沢会談が持たれた。これは民主党内の反対に遭って不発に終わっている。
今回の大連立構想は”小沢抜き”という特徴がある。前回の大連立構想で仲介役だった森元首相が11日のテレビ東京の番組で「大事なことだとは思う」と表明しながら、「小沢さんの延命策ならゆがんでくる。小沢さんが策動している限り(仲介役も)やらない」と述べた。
自民党内には大連立構想に否定的な空気が強い。それよりも内政外交で八方ふさがりの菅政権を追い詰め、解散・総選挙に持ち込む主戦論が大勢を占めている。
その中で森氏は8日午前、菅首相を官邸に訪ね会談、一方で大連立構想のキーパーソンの一人といわれた渡辺恒雄読売新聞グループ本社会長が同日午後、自民党本部に谷垣総裁を訪問して約1時間にわたり二人だけで話し合いをしている。いずれも”小沢抜き”の大連立構想の動きとみられている。
表面的には谷垣氏は「衆院は小選挙区制で民主党と戦っている。よくよくの大義名分がなければできない」と大連立構想に否定的である。また菅首相も「大連立について申し上げることはない」と繰り返しているが、首相周辺からは「選択肢から消していないと思う」と声もでる。
したがって小沢氏が民主党から離党すれば大連立の環境が整うという見方が根強くある。いずれにしても茨城県議選の結果次第で、中央政界に新たな動きが連動してでてくる公算がある。
杜父魚文庫
6852 茨城県議選の結果次第で中央政界に新たな動き 古沢襄

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