さらに続報。ウィキリークが伝える中国の奥の院の揉め事。台湾と北朝鮮問題は政治局25名全員出席の会議で諮られている。
北京にある米国大使館の分析では中国の最高権力層は「合意重視」であり、その性格は革命元勲の子弟が多いことから、「掌権派」(原文の英語はSHOP KEEPERS)だとしていることがウィキリークの機密漏洩によって判明した。
意味するところはひたすら権力を維持するために徒党を組む。特権をはてしなく持続させる、ということである。小誌がいつも指摘したことだ。
2009年7月23日に打電された米大使館発「09BEIJING2112」。
中国は挙国一致ではなく挙党態勢にあり、権力総体は管理が貴重、総和をはかり、利権の争奪戦が行われる。(宮崎流に言い換えると「マネジメント重視の共産党主義!」<共産主義)ではなく「党」があいだにはいる)。
国有企業の決定は党の最高会議が同意するため、胡錦濤は党書記というより薫事長(CEO)的である。つまり大企業の取締役会風としている。
よく喋り、投票を促し、しかし最多投票権を胡錦濤が持つ。政治局常務委員会の九名で日常の重要決定をするが、北朝鮮と台湾問題は、政治局25名全員が出世する会議で決められる。(米大使館への)内部情報提供者によれば、すべては投票によるというから、まるで「世界的な民主組織のようである」と皮肉る。ともかく「この政治局会議だけが中国で唯一の民主主義が実践されている」。
原文の「内部情報提供書」は匿名で「xxxxx」となっている。
この投票により上海派と団派とのバランスは均衡しており、意見の対立が顕著なときは総和が計られるまで議論が続くそうな。
何のことはない。イデオロギー、政策の齟齬による路線対立はなく、利権をめぐる争いが日夜続けられており、内部告発者によれば、李鵬とその家族が水利、発電の利権をにぎり、陳雲(トウ小平最大のライバル、鳥かご経済論を唱えた守旧派のボス)の遺族らは銀行の利権を、賈慶林一族は北京の不動産ビジネスの利権を、周永康の家族は石油関連の利権を、胡錦濤の家族はSINACOM(新浪網)の利権を、そして温家宝首相一族は貴金属ビジネスの利権構造のトップにある、と。
率直に言って、この程度の情報は既に幾つかの拙著でも数年前から指摘したことであり、なにひとつ目新しい情報がない(もっと最高機密を探します。次号以降にご期待あれ)
杜父魚文庫
6882 中国の奥の院の揉め事 ウィキリーク 宮崎正弘

コメント