中国は世界第二の経済大国です。ところがエイズ救済の国際活動に関しては、もっぱら日本を含む他の諸国からの資金を受け取るばかり、自国は寄付をほとんどしていません。
この点をアメリカの民主党有力議員が辛辣に非難しました。中国のひとつの側面であり、こうした非難がアメリカから出ることは米中関係のひとつの側面を照らしだしているといえます。
=======
〔ワシントン=古森義久〕米国上院外交委員会の民主党有力メンバーのジム・ウェブ議員は15日、中国がエイズ救済の国際機関からの受益資金が巨額なのに資金提供があまりに少ないとする非難を表明した。世界第2の経済大国の中国の受益が多すぎるために他の貧しい開発途上国が犠牲になっているという。
同外交委員会の東アジア・太平洋小委員長を務めるウェブ議員は同日、「中国は世界エイズ・結核・マラリア対策基金(グローバル・ファンド)から開発途上諸国を犠牲にして不当な利益を得ている」と題する声明を発表した。
同世界基金は2002年に世界各国の官民が共同で設立し、主として政府からの寄付金で各国のエイズ患者などの救済を実施してきた。現在は加盟181カ国。
ウェブ議員の声明によると、同基金はこれまで総額217億㌦をエイズなどの救済に投入してきた。そのうち米国政府からの資金提供は合計43億㌦、日本は12億㌦ほどだという。
だが同声明では中国はこれまで同基金に合計1600万㌦しか寄付をしていないのに、逆に合計9億4千万㌦を供与されてきた。
ウェブ議員はこの点を批判して「中国は世界第2の経済大国なのに同世界基金の寄付額では20位にも入らず、受益では第4位となり、他の貧しい開発途上国に供与されるべき資金を不当に収奪した形となった」と述べた。
同議員はまた「米国政府の資金が中国に投入されることは米国納税者への冒涜だ」とも宣言した。ウェブ議員はこうした中国批判をまとめた書簡をオバマ政権のエイズ対策担当のエリック・グースビー特使に15日、送り、近くブルガリアで開かれる同世界基金の理事会で「中国の不公正」を提起することを要請した。
杜父魚文庫
6905 中国はエイズ救済世界基金を不当に収奪!! 古森義久

コメント