昨日、首相官邸で、菅直人総理大臣と小沢一郎氏が、90分間二人で鼻突き合わせて話し合ったという。小沢氏の政治倫理審査会出席に関し、菅氏が「出席してほしい」と言い、小沢氏が「いやです」と答えたという。
なるほど、90分間!これだけか?ただ一つ明らかなのは、「公のこと」、「お国のこと」は、何一つ話し合われていないということ。
昨日の90分だけではなく、一体この大切なときに、ここ数ヶ月間、与党内は「小沢問題」で、「国民に説明するべきだ」という者と「いやだ」という者の両論のいずれかに所属議員を囲い込み、集団飲食を繰り返しているだけではないか。これは、派閥抗争の次元にも達しないチルドレンとガールズの愚民抗争である。
ところで、首相官邸に入ったり出たりするときの小沢氏の表情、また、囲い込んだ手下達の待つ忘年会に向かう小沢氏の表情、つまりカメラと質問する記者の方には見向きもせず、ぷいと通過していくあの表情だ。それ、手応え十分という感じで充実していると思われないか。
その通り。小沢氏は、今充実している。生き甲斐を感じているのではないか。何故なら、それが彼の「政治」だからだ。
そして、指定された赤坂かどっかの料亭に集合させられ、ビール片手に小沢氏が入ってくるまで待っているチルドレン達。彼らも、料亭から出るところを、待ちかまえていたカメラに迎えられ、記者から「小沢さんは何をしゃべったのか」と尋ねられる。まるで、大物の国家的機密に関与している思いなってしまうではないか。そして、この子供達にも、これが「政治」だというすり込みがなされる。
斯くして、小沢氏は我が国の国政を「愚民」一色に塗りつぶす。ここに、つまり「愚民」一色の世界において、小沢氏の生き甲斐が生まれる。ここにしか小沢氏の生き甲斐はない。
事実、昨日も首相官邸で、全マスコミが待ちかまえるなか、我が国の内閣総理大臣と九十分間だ!「政倫審に出て下さい」、「いやです」と話し合ってきたではないか。つまり、小沢氏は、今の政界における最大の「大物」に違いない。
思えば、民主党が政権にありついてからの昨年秋以降のことを振り返るだけでも、小沢氏の「政治」には国家のことが無く、皆「私」だった。
小沢氏の、北京への百四十余人の子供議員を連れた訪問は、彼にとっては得意満面であっても、我が国家にとっては屈辱以外の何物でもない。次の韓国の大学での「講演」に至っては、もはや我が国の政治家ではなく、在日朝鮮人の本国での「反日報告」と錯覚したほどだった。
さらに今年に入って行われた民主党大会では、小沢氏は「検察の権力の横暴と戦う」と演説して、我が国の与党の大会を、まるで大学紛争時の民青の反権力大会にしてしまった。全て「私」だ。そして、昨日の総理大臣との九十分間に至る。
先日、ある民主党議員に次のように言った。「あのなー、ばらばらになった時に、サルベージしやすいように、あまり小沢君のそばでテレビに映るなよ」
さて、今、大切な来年度予算編成時期である。小沢氏の愚民一色報道の影にあって指摘されていないのだが、今、予算編成にあたる民主党「政治家」の頭は低劣で機能していない。はっきり言えば、アホではないか。
そもそも、彼らは今何をしなければならないのかが分かっていない。官僚実務家の分野に素人が入るのではなく、政治の大方針を明示するべきだ。これが全くなっていない。
菅総理は、法人税を減額することを決めて、官房長官と共に得意になっているようだ。また今日の報道では、子供手当を上積み支給するという。そこで、財源はどうするのかというと、所得税を増額する。給与所得控除や成年扶養控除を縮小するという。
冗談ではない。我が国経済を潰すつもりかと言いたい。
今、巨大なデフレではないか。今こそ、デフレ克服の大方針を掲げ実行しなければ、インフレより恐ろしいデフレスパイラルは止められなくなる。
デフレとは、消費が落ち込んで物が売れないことである。企業が設備投資を控えるのは、金がないからではなく、製品が売れないので設備投資を控えざるを得ないからだ。
製品が売れなければ、給与が下がる。給与が下がれば、物はさらに売れなくなる。経済の萎縮は止まらない。この悪循環を切断する決断は、国民の可処分所得を一挙に増額すると共に、必要な国防力増強を含む公共事業に財政出動するということである。財源は、国家がもつ通貨発行特権行使の決断である。
しかるに、菅内閣は、間違った世情に媚びる子供手当、企業減税の財源として、国民の所得税を増額して、国民の可処分所得を減らしている。
まさに、逆だ。肺炎になりかけている患者に暖房と偽って水をかけるようなことである。それを、自画自賛しながらしているのが、菅と仙石の左翼コンビであり、知らん顔して碁と手下との会食を繰り返し、自分のことしか頭にない「大物」が小沢前幹事長という配置だ。
ここに「日本は日本人だけのものではない」という友愛という馬鹿の権化、前総理の鳩山君を加えれば、コミンテルン(昔ソビエト、今中共)の運動方針の通りの道が我が国に開かれているのが分かる。つまり、「世界のブルジョアジーを打倒するために、さらに国家の完全な廃止に向けて」既に舗装された道だ。この道は、共産主義エリートが開くのではなく、我が国では低劣な国籍不明の抜け目のない愚民が開いている。
杜父魚文庫
6917 馬鹿同士の90分間・・・国家解体に向かう姿 西村眞悟

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