民主党の小沢一郎元代表の国会招致をめぐり、菅直人首相と小沢氏の2人の主演俳優が20日、ようやく同じ舞台に立った。とはいえ、幕が開くまで長期間待たされた揚げ句、丙丁つけ難い役者による茶番劇では国民もうんざりだろう。
首相は小沢氏との会談後、急遽(きゅうきょ)記者団を呼び集めてこう語った。
「小沢さんの政治とカネの問題も、国会運営や選挙にマイナスの影響があるわけで、ぜひ協力してほしいと申し上げました」
確かに言(げん)を左右にして衆院政治倫理審査会から逃げ回る小沢氏の悪あがきは論外だ。「一兵卒」というよりもだだをこねる子供そのもののようだ。
ただ、首相の姿もまた「どっちもどっち」にしか映らない。
首相は6月の就任時、閣僚・党役員人事で小沢色を排し、支持を集めた。その後、内容を詰めずに消費税率引き上げに言及し参院選に大敗する。
一時は鳩山由紀夫前首相とともに小沢氏を要職に起用する「トロイカ体制」復活にも傾くブレも見せたが、9月の党代表選で小沢氏と対決、勝利したことで支持率は再び跳ね上がった。
だが、柳の下にいつもドジョウはいない。溺れそうな首相はわらにもすがる思いで「小沢氏たたき」に活路を求めた。とはいえ、自民党の石原伸晃幹事長が「アリバイ工作」と断じたように魂胆は見透かされている。
第一、小沢氏の政治とカネの問題は今に始まったことではない。不動産購入も党費の不透明な使途も長年指摘されてきたことであり、問題だと考えるならばなぜ今まで口をつぐんできたのか。
そもそも小沢氏が「出ない」と明言している政倫審をめぐり大騒ぎしていること自体が滑稽ではないか。政倫審の出席は任意であり、現に鳩山氏は昨年7月17日、個人献金偽装問題で政倫審で弁明するよう議決されたが欠席している。
首相は小沢氏への離党勧告も検討中だというが、それならば鳩山氏にも離党勧告すべきだろう。そこまで決意を固めれば心から拍手を送りたい。
さらに言えば、仮に小沢氏に何らかの処分を下したとしても、それによって行き詰まった政権運営が急に好転するはずはない。
小沢氏の「菅政権に代わり選挙戦は連戦連敗」との指摘は当たっている。来春に統一地方選を控え、地方県連の政権への不満は水面下でたぎっており、来年1月13日の党大会で噴出しかねない。
ここで参院で問責決議を受けた仙谷由人官房長官らを更迭せずに通常国会になだれ込めば、野党側は態度を硬化させ、審議は滞る。小沢氏を支持する議員らの造反が見込めると踏めば、野党側は首相の不信任決議案提出を視野に動きを強めるだろう。
結局、首相は何の成算も展望もないまま、小沢氏を官邸に呼び出すパフォーマンスを披露しただけではないか。この「思いつき」による「即興劇」こそが菅政治の本質に見える。
20日には、官邸で国民生活に直結する二つの動きがあった。一つは、平成23年度の公的年金支給額の据え置き。首相は据え置きを指示したが、閣僚らは「その場しのぎの対応ではいけない」と応じず、断念に追い込まれた。
国営諫早湾干拓事業の開門を命じる福岡高裁判決を受け、首相は上告断念を決断したが、干拓地の被害が予想される長崎県側は猛反発。20日、中村法道長崎県知事らが官邸を訪ねて抗議すると首相はこう言った。
「私が政治判断した。理解してほしい…」
首相はこう自分の決断を強調するばかり。当事者である県側に対し、なぜ事前に説明しなかったかは黙して語らなかった。「思いつき」だけの政治判断なので連絡しようがなかったのが実情ではないか。(産経)
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6918 小沢の茶番劇にうんざり 阿比留瑠比

コメント
民主党政権のひどさは野党時代から予想していたが、ここまでとは予想できなかった。
この政党に一票を投じ、愚かな政治家を選んだ愚かな有権者達、民主党支持を煽った無責任・無恥・無定見大マスコミ企業の煽りに乗り、投票行動をお越したのもこの愚民である。
結局は愚者の楽園の狂騒であった。今、日本人は己の愚かさの代償を確実に支払わされているのである。「自己責任」という言葉がこれほど当てはまるのは歴史の皮肉であろうか。
今朝(12.22)のテレビ放映で、小沢派の議員が小沢擁護の弁明をしておりました。一般常識人には理解不能な屁理屈。さらに、党が結束しマニフェストの原点に立ち返るための弁明だとぬかしていた。実現不可能なマニフェストを並べ立て、国民を騙したのではないか。一票を投じたことに反省と憤りを感じています。「ゴメンナサイ。間違っていましたと謝るべきではないか。バラマキハはもう沢山だ。鳩山前首相同様「学べば学ぶほど過ちに気がつきました」というべきだと思う。高齢者の一人ですが、我が国の10年・20年先のビジョンを示して欲しい。コップの中の泥仕合はみたくない。民主党は思想も信条も違う、単に政権を捕るための寄せ集め集団にしか思えなくなってきました。