6925 韓国も中国とは政治的に対立し、経済的には関係を深める 古沢襄

中国の北朝鮮に対する肩入れで韓国の対中国国民感情が急速に悪化している。東亜日報は社説で「外国警察への暴行と密漁を庇うのが”中国流外交”か」と痛烈な批判論を展開した。政治的にみれば韓国と中国は最悪の関係にある。
しかし、その一方で中国は韓国にとって最大の貿易相手国であり、2009年の貿易額は1410億ドル、324億ドルの貿易黒字をあげている”お客さん”という現実があるのを見逃すわけにはいかない。韓国の対中貿易は韓国の全貿易額の20・5%を占め、対日の10・4%、対米の9・7%を大きく上回っている。
この事情は尖閣諸島の衝突で急速に対中国国民感情が悪化した日本と事情が似ている。日本の中国との貿易額は米国を抜いて中国が最大の貿易相手国となった。政治的には対立し、経済的には依存関係を深める両立がいつまで続くのであろうか。
<<[社説]外国警察への暴行と密漁を庇うのが「中国流外交」か>>
<中国漁船は大雑把に表現すれば海賊同然だ。西海(ソヘ)の排他的経済水域(EEZ)で密漁していた中国漁船50隻あまりを、海洋警察の警備艦が取り締まろうとすると、中国人乗組員らは鉄パイプや角材を振り回しながら、激しく抵抗した。正当な公務を執行しようとした韓国人警察官4人は腕に骨折などの怪我を負った。両国の暫定水域へ逃げた中国漁船「遼營漁号」は、韓国警備艦にぶつけた後、沈没した。中国人乗組員1人が行方不明になったのは残念なことだが、密漁を取り締まった韓国にその責任があるわけではない。
事件から3日後の一昨日、中国外交部の姜瑜報道官が中国人乗組員の人命や財産被害の補償や、責任者の処罰を韓国に要求してきた。姜報道官は、「漁船に衝突し、人命被害が出てはいけないことだ」とし、韓国警備艦が中国漁船に突き当たったと責任をかぶせた。事故発生地点についても、「両国の漁業協定によると、両国の漁船は共に、この(事故)海域に入ることができない」と主張した。氏は、中国漁船が韓国EEZを犯した事実は隠したまま、とんでもない主張だけ並べ立てた。海洋警察によって逮捕された遼營漁号の乗組員らは、韓国のEEZで密漁し、暫定水域に逃げた後、警備艦に衝突したと自供したのに、姜報道官は何を根拠に、韓国を批判しているのか理解できない。
韓国警備艦は、逃げ出す中国船舶を追尾して暫定水域に進入した。国際法が認める追跡権に基づいた措置だった。中国は自国漁船による韓国EEZ侵犯の取り締まりに力を入れるべきだ。今年に入り、計363隻の中国漁船が密漁し、摘発された。中国の乗組員らはともすれば凶器を振り回し、この5年間、韓国海上警察1人が死亡し、33人が怪我をした。中国政府が今回のように不法行為をかばうから、乗組員らが凶暴になるのではないか。
姜報道官の「北朝鮮の平和的核利用権の主張」も寝耳に水だ。氏は05年の6者協議で採択された9・19共同声明をその根拠に掲げたが、同声明は、北朝鮮の核兵器や核計画の放棄、核不拡散条約(NPT)への復帰を前提に、「核エネルギーの平和的利用」を取り上げた。北朝鮮が2度の核実験に続き、最近、ウラン濃縮施設まで公開し、9.19共同声明を徹底的に無視していることを、中国は知らないらしい。中国が外交関係で国の面子を考えるなら、事実歪曲や筋の通らない主張は控えるべきだ。(東亜日報)>
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