さて…。菅政権はもう、誰の目から見ても詰んでしまっているわけですが、菅直人首相も仙谷由人官房長官も、せっかく掴んだ夢にまで見た権力の椅子を手放したくないためか、自分たちが「すでに終わっている」ことから必死に目をそらしているようです。
端から見れば滑稽だし、さらに迷惑この上ないのですが、ご本人たちは溺れる者はワラをも掴むの思いで、何とか延命できないものかと思案に暮れているのでしょう。これも、特に有効な策を講じているようにはとても見えないので、「そのうちなんとかなるだろう~」とたかをくくって腕をこまぬいているようにも思えるのですが…まあ、分かりません。
そんな中で、少し旧聞になりますが、12月8日に突如、「大主筆」(仙谷氏)と呼ばれる大物マスコミ人が自民党本部を訪れ、谷垣禎一総裁に会いましたね。このとき、大主筆は消費税率上げを大義名分にした「大連立」を持ちかけたとされます。
谷垣氏は、菅政権という泥船に乗るのはまっぴら御免だとして断ったようです。この大連立の動きについて、みんなの党の渡辺喜美代表は「消費税増税を至上命題とする増税翼賛体制」と名付けましたが、この人はさすがに上手いものだと感心します。その通り、ろくなものではないと思います。
ただ、大主筆はその後もこの消費税率上げを掲げての大連立構想は捨てていないようで、その後も有力・著名な政治家が大主筆から「この事態を打破することを考えないといけない」と持ちかけられているようです。福田内閣のときに福田康夫首相と民主党の小沢一郎代表の仲立ちをし、結果的にああいうことになったのに、このエネルギーはどこからくるのでしょうか。
16日夜には、この大主筆がホテルオークラの日本料理屋から、仙谷氏、馬淵澄夫国土交通相と時を同じくして出てくるのが目撃され、我々はちょっと緊張しました。大主筆は「問責可決コンビ」と一体、何を話し、相談したのだろうかと。
その後の取材で、仙谷、馬淵両氏は某鉄道会社幹部と会っていたことが分かりましたが、大主筆と全く接触していないかどうかは分かりませんし、この某鉄道会社幹部自身、仙谷氏とつながりがある人物なので怪しいところです。仙谷氏もまた、社会党時代から福祉目的での消費税増率上げに言及し、鳩山政権時代にもたびたびその持論を語っていたということもあります。
ただ、もともと経済に疎く、ましてや経営などさっぱり分からない私は、大主筆がどうしてそうも消費税率上げにこだわっているのかが、理解できませんでした。だって、消費税が上がれば、新聞の紙代も印刷代も上がり、ただでさえ苦しい新聞経営をさらに苦しくするのではないかと考えていたからです。
なので、不得要領のまま放っておいたのですが、本日、ある議員秘書さんと雑談をしていて、なるほどと思える「仮説」を聞きました。この秘書さんの見立てはこんなものでした。
「そりゃ、新聞購読代の値上げがしたいからだろう。新聞代はもうずっと上がっていない。一方で、広告はどんどん減って経営は苦しくなっている。そこに消費税率上げがあれば、それを名目にして新聞代を一気に、消費税分以上に上げることができる。大主筆のところは部数が大きいから、その効果も大きい」
なるほど、大連立でもなければ消費税上げは実現しないはなと、得心がいった次第でした。もちろん、これは一つの仮説であり、本当に大主筆がそう考えているのかどうかは分かりません。
また、もとより、人が何かの行為に出る際の動機は一つとは限りませんから、私のような下っ端にはうかがいしれず、理解もできない真実の憂国の情が迸っているだけなのかもしれません。
しかしまあ、いずれにしろ、もういい加減にしてほしいと、大主筆の会社の社員たちが一番そう思っているだろうなと。もう、いいでしょう。
杜父魚文庫
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