小沢氏から「政倫審には出る」という返球を受けて、菅首相は通常国会前の内閣改造に言及せざるを得なくなった。口の軽いカンのこと、そのうち仙谷更迭にまで言及しかねない。
西村眞悟氏(前衆院議員)によれば12月27日、名古屋で会った塚本三郎元民社党委員長は「菅は、自分のことしか考えていない男だ。ただ、人を利用してのし上がってきた男だ。
人の世話はせず、ただ自分の保身のことだけを考えている。利用した人がどうなろうと知ったことではない。國がどうなっても彼の知ったことではない。
このたびの「たちあがれ日本」への連立申し込みも、彼の保身から出たことだ。これに乗れば、國を滅ぼすことになる」といったそうだ(「頂門の一針」12月29日号)
組閣以来、仙谷官房長官を最も頼りにしてきた菅首相だが、塚本説によれば、当座の苦境を脱せるならと、仙谷を簡単に捨てることも当然あり得るわけだ。
小沢氏が28日述べた中で政倫審出席が国会審議円滑化の条件となるのであれば通常国会冒頭に出席すると言う事は、仙谷氏が事前に更迭されていることを前提にしたものだからだ。
参院における問責決議案の可決の事情からすれば菅首相が仙谷氏を更迭する事はもはや不可避だが、他の閣僚ポストへの横滑りも可能性は無い。やれば野党の反発は今以上に厳しくなるからだ。
<菅首相(党代表)や岡田幹事長らは28日、首相官邸で行った協議で、「通常国会前に小沢氏の政倫審出席を議決する」とした27日の党役員会決定に基づき、手続きを進める方針を確認した。協議では小沢氏への批判が相次ぎ、出席者の一人は「『小沢切り』の流れに変わりはない」と明言した。
小沢氏は28日夜、側近議員に「条件を付けた覚えはない」と漏らし、首相らの対応に不満を示した。
しかし、首相たちには小沢氏に厳しい姿勢をとり続けることで「政治とカネ」の問題解決に積極的だとアピールする狙いがある。
執行部は政倫審への対応とは別に、小沢氏が強制起訴された時点で離党勧告を突きつけることも検討しており、「処分の方が重要な目標だ」との声もある。
ただ、執行部も、参院で問責決議が可決された仙谷官房長官らの進退問題の判断を迫られている。首相は28日夜、首相官邸で記者団に内閣改造について「次の通常国会までに強力な体制をつくりたいと、今考えているところだ」と述べ、通常国会召集前の内閣改造の可能性に改めて言及した。
首相周辺では、「内閣改造で仙谷氏が閣外に退くと同時に、小沢氏を離党に追い込む手もある」と、仙谷氏と小沢氏の刺し違えによって事態打開を図る案も浮上しているが、首相と岡田氏らの協議は1月5日に再開するとしており、民主党内からは「党を取り巻く状況は日々悪化しているのに、危機感がなさ過ぎる」と嘆く声も出ている。> (読売新聞 12月29日(水)13時6分配信)
菅首相は元日、小沢邸の向こうを張るかのように首相公邸で新年宴会を挙行するそうだが、官房長官の仙谷氏を欠いた新年の政局運営は元日が三途の川になっていないとも限りない。
杜父魚文庫
6961 小沢・仙谷刺し違いなるか 渡部亮次郎

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