杜父魚ブログには毎日、一万人を越える読者がアクセスしてくれるが、私の方はその読者傾向を毎日、グーグル検索で調べるのが楽しみ。一年間を通じて一番よく読まれたのは屋山太郎氏の「ど素人・寺島実郎氏の外交感覚」。また十二月二十九日の一日にかぎれば、私の「仙谷官房長官が頼る二人の民間人ブレーン」がトップでよく読まれている。
鳩山外交にもっとも影響を与えたと巷間伝えられた寺島実郎氏と、陰の総理大臣といわれる仙谷由人氏のブレーン中前忠と篠原令の両氏が期せずして読者の関心を集めた点が面白い。旧聞になるが安倍晋三氏のブレーンについて「注目される安倍ブレーンの三氏」(2006・9・8)を書いたことがある。
中西輝政京大教授、伊藤哲夫日本政策センター所長、八木秀次高崎経済大学教授の三氏を取り上げ、安倍氏は国家理念を重視する保守イデオロギー派と位置付けた。
世間では菅・仙谷VS小沢の対立に関心が集まっている。新聞・テレビもそれ一色。しかし菅、小沢氏には、それを支える学者グループが見当たらない。学者なんて象牙の塔の存在で、下手な口出しをされても実学の政治の世界では厄介ものだと思っているのかもしれない。
だがワシントンから古森義久氏が伝えてきているように、米国ではシンクタンクで様々な政策論が戦わせられていて、それが米政権の政策に影響を与えている。ハーバード大学やプリストン大学の教授が共和、民主両党の大統領の政権交代でホワイトハウスに入ってくるから、外交路線の変化が外からも見える。また政策に厚みがある。
その点では日本政治は世界政治のローカル、貧弱さが覆い隠せない。とくに菅政権には思いつきの政策が目立っている。政治主導が空回りして、官僚の政策提言が出てこない。どの道、短命政権だと霞ヶ関官僚たちは、お手並み拝見を決め込んでいる。
岸内閣の当時だが、反主流派の池田勇人氏は不遇の時代に下村治氏らエコノミストや大蔵官僚系議員たちとともに「所得倍増」のもととなる政策構想を練り上げている。日本で本格的な政策集団を作ったのは池田氏といっていい。60年安保の三年前の1957年、自らの政策集団・派閥である宏池会を結成している。
ひと握りの若い政治家の能力などはタカが知れている。人生経験も政治経験も未熟だから、三宅久之氏から一喝されると縮み上がる。やはり野党時代に国の基本政策である外交・安全保障政策や国家財政の政策をなおざりにしてきたまま、政権を手中にしたツケが回ってきたと言わざるを得ない。
このままだと民主党は政権の座から滑り墜ちたら、再登場する可能性は極めて低いと思う。それは二大政党制を志向する日本政治にとって不幸なことである。本格的な政治決戦は2012年になるだろう。菅政権とはいわないが、民主党政権にとって2011年中に基本的な政策変更を図らないと沈没船のまま海底を漂うことになりかねない。
①仙谷官房長官が頼る二人の民間人ブレーン 古沢襄
②小沢を嫌悪 菅には唖然 渡部亮次郎
③日本は独立自尊の国 加瀬英明
④ことしの小沢新年会で菅副総理が乾杯の音頭をとったのだが 古沢襄
⑤小沢・仙谷刺し違いなるか 渡部亮次郎
⑥貧乏人が馬持つと 山堂コラム
⑦民主党の牙城だった茨城県南で地殻変動 古沢襄
⑧政倫審出席をめぐる小沢氏の深謀 花岡信昭
⑨菅との連立などあり得ない 西村眞悟
⑩小沢氏が政倫審に出席すると言明 古沢襄
杜父魚文庫
6963 日本政治は世界政治のローカル 古沢襄

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