韓国の朝鮮日報に「北朝鮮の主要統計指標」という統計庁の報告書が出ている。それによると韓国の経済力は北朝鮮の37・4倍、一人当たり国民所得は韓国が約143万円で北朝鮮の約8万の17・9倍。
東西ドイツの統一の時には、旧西ドイツと旧東ドイツでも大きな経済格差があったが、その比率は3対1といわれたから、韓国と北朝鮮の経済格差は天文学的な数字の差だといえよう。朝鮮半島で南北統一が成れば、韓国の持ち出しはかなりの額になる。
西ドイツも統一後は深刻な不況に襲われている。政治的には大きな成果をあげた東西ドイツの統一だったが、経済的には統一ドイツは不況克服に苦しんだ。ようやく統一ドイツが景気回復の兆しを見せたのは2006年、だが翌年の世界金融危機で再び不況に見舞われている。
韓国の人口は約4800万人、日本の37%だから内需拡大よりも積極的な貿易によって経済規模を拡大してきた。北朝鮮の人口は約2400万人。南北統一が成れば4800万人が2400万人を食わせる時期が続くであろう。政治的にいえば南北統一は緊張緩和の大きな成果となるが、経済的には韓国は大きなリスクを負うことになる。
輸出入を合わせた貿易総額は韓国が約57兆円。北朝鮮は約3000億円弱だから200対1の格差がある。北朝鮮の安価な労働力に依存すれば、韓国の失業率が高まるおそれがある。ただ北朝鮮の鉱物埋蔵量は韓国の24倍に達している。韓国のメリットといえば北の豊富な鉱物埋蔵量。この潜在価値は約520兆円という試算もある。
これを中国が見逃す筈がない。胡錦濤・温家宝ラインは北朝鮮に対しては改革・開放政策を求める一方で支援を惜しまないであろう。中国にとっては北朝鮮の存在が軍事的にも経済的にも必要だから、韓国主導の南北統一には賛成する筈がない。南北統一はまだ遠い先の話となる。
<韓国の経済力が北朝鮮の37.4倍に達することが明らかになった。
統計庁が5日に公開した報告書「北朝鮮の主要統計指標」によると、2009年の時点で韓国の名目GNI(物価上昇率を反映しない国民総所得)は8372億ドル(約69兆6700億円)で、224億ドル(約1兆8640億円)を記録した北朝鮮の37.4倍に達していた。これは2007年の37.7倍に比べると格差はやや小さくなったものの、それでも3年前の34.7倍よりは大きく差が開いた。1人当たり国民所得は韓国が1万7175ドル(約143万円)で、960ドル(約7万9900円)の北朝鮮の17.9倍だった。
輸出入を合わせた貿易総額は韓国が6866億ドル(約57兆1390億円)で、34億ドル(約2830億円)を記録した北朝鮮の201.9倍だった。
北朝鮮は鉱物埋蔵量が豊富で、潜在的な資源保有国であることもわかった。2008年時点における北朝鮮の鉱物埋蔵量の潜在価値は6983兆5936億ウォン(約517兆円)で、これは韓国の289兆1349億ウォン(約21兆円)の24.1倍だった。北朝鮮の推定鉱物埋蔵量はマグネサイトが60億トンで2679兆7320億ウォン(約198兆円)分、石炭が205億トンで2662兆9070億ウォン(約197兆円)分、金が2000トンで61兆3274億ウォン(約4兆5000億円)分だ。韓国にはマグネサイトはなく、石炭埋蔵量の潜在価値は13億6000万トンの156億9848億ウォン(約11兆6000億円)分で、これは北朝鮮のわずか5.9%だ。
報告書の最後に統計庁は、北朝鮮向けラジオ放送「開かれた北朝鮮放送」の報道内容を引用し、北朝鮮におけるの韓流ブームについて紹介した。現在、北朝鮮で流通する韓国製品はミキサー、温風器、ガスコンロ、プロパンガス、銀ナノ弁当箱、圧力釜炊飯器、布巾、調理用手袋などで、これらは韓国メーカーの商標がついたまま流通しているという。
平壌に住む富裕層の間では韓国製のシャンプーやリンスが人気で、470グラム入り1本が北朝鮮の通貨で40ウォンから50ウォン(約590円から740円)、せっけんは1個1.5ドル(約125円)で取引されているという。北朝鮮の若者たちは中国製のノートパソコンで、「ブルー」「チング」「極道の妻」「冬のソナタ」「天国の階段」などの韓国映画やドラマに熱中し、CDやMP3などを通じて「雨の永東橋」「四拍子」といった韓国歌謡もよく聴いているようだ。(朝鮮日報)>
杜父魚文庫
7000 韓国の経済力は北朝鮮の37倍、貿易総額は201倍 古沢襄

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