中国は国内で言論統制をする一方で国外では自国寄りのメデイアを雨後の筍のごとく作って憚らない。国内で軍備拡張に狂奔し、日本のような隣国では中国マネーで土地を買い漁る・・・さらにはメデイアでも浸食してくる実態を韓国の東亜日報が「人民日報の韓国語版」というオピニオンで伝えている。
北朝鮮軍による延坪島(ヨンピョンド)砲撃に際しては、ソウルで発行される人民日報ハングル版が「北朝鮮の対話要求を握りつぶした米国に責任がある」と主張していた。北朝鮮系のメデイアではない。中立を装っていた中国が韓国の首都ソウルで、反米・親北朝鮮の論調をハングルで堂々と掲げていた。
東亜日報は「北朝鮮の肩を持つ偏った記事をハングルで書き、韓国読者の気持ちを逆なでしている。先に砲撃したのが誰かをまだ分かっていないようだ。中国共産党機関紙の人民日報の立場を考えなければならないだろう」と怒る。
韓国で発行されている人民日報関連紙は三紙だという。人民日報と人民日報海外版が中国語で、人民日報韓国版がハングルで発行されている。中国では、外国メディアが中国語の新聞を発行できないが、人民日報は韓国で言論の自由を十分に享受している。
人民日報韓国版は最近、広告で人民日報海外版を「中国の世界化、世界の中国化に向けた窓口の役割をしている」と紹介した。人民日報韓国版の偏向報道が、韓国の中国化の試みではないことを祈る。中国は、国家関係の相互主義によって、北京、上海、延吉で、韓国新聞の中国版の発行も許可すべきだろう・・・とオピニオンは唱えたが、中国が聞く耳を持っている筈がない。
メデイアも中国覇権の先兵として重要な役割を担っている。
<中国は、11月8日を「記者の日」として記念する。中国で記念日がある職業は、記者、看護師、教師がすべて。記者が相対的に優遇を受けているようにも見えるが、記者の日を作った目的は、言論の地位や言論の自由とは関係がない。中国の記者の日は、1937年、中国青年新聞工作者協会(現在の中華全国新聞工作者協会)の結成が契機となった。後に、中国首相となった周恩来が日本と戦争をし、言論を支持勢力として動員するために協会の結成を主導した。
◆協会結成から74年が経過したが、中国政府の言論観はほとんど変わっていない。昨年、記者の日の記念式で、李長春政治局常務委員は、「言論人は、共産党の主張と民衆の声を統一させなければならない」と強調した。李委員は、言論の自由については一言も言及せず、一方的な注文だけを並べ立てた。世界2位の経済大国である中国で、記者は依然として初歩的な言論の自由も享受できずにいる。中国の言論は、政府の報道統制に押さえつけられ、昨年、劉暁波氏のノーベル平和賞受賞の知らせも伝えることができなかった。
◆ソウルで発行される人民日報ハングル版は、北朝鮮の延坪島(ヨンピョンド)挑発を南北間の領海と領土の主権争いと見なし、北朝鮮の対話要求を握りつぶした米国に責任があると主張した。筆者は、人民日報ハングル版代表の徐寶康氏だ。徐氏は、ソウルと平壌(ピョンヤン)で特派員を務め、韓国と北朝鮮を同時によく知る代表的な中国言論人だ。その徐氏が、北朝鮮の肩を持つ偏った記事をハングルで書き、韓国読者の気持ちを逆なでしている。徐氏は、先に砲撃したのが誰かをまだ分かっていないようだ。中国共産党機関紙の人民日報の立場を考えなければならないだろう。
◆現在、韓国で発行されている人民日報関連紙は3紙だ。人民日報と人民日報海外版が中国語で、人民日報韓国版がハングルで発行されている。中国では、外国メディアが中国語の新聞を発行できないが、人民日報は韓国で言論の自由を十分に享受している。人民日報韓国版は最近、広告で人民日報海外版を「中国の世界化、世界の中国化に向けた窓口の役割をしている」と紹介した。人民日報韓国版の偏向報道が、韓国の中国化の試みではないことを祈る。中国は、国家関係の相互主義によって、北京、上海、延吉で、韓国新聞の中国版の発行も許可すべきだろう。 (東亜日報)>
杜父魚文庫
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