7025 中国人口の都市集中は尋常ならざる事態に 宮崎正弘

都市人口が六億を超え、農村の荒廃は日本より迅速。中国社会科学院の「正式」数字では、2009年の大学卒業者は610万人。そして「このうちの200万人の新卒者に職がない!」(香港『明報』、10年12月15日)。
同紙は08年上半期だけで中国の中小企業6万7千社が倒産し、同年1月10月の十ヶ月だけで1020万人が職を失ったと衝撃の数字を並べた。が、この程度の数字は驚きに値しない。
 
中国は共産革命から改革開放までの四半世紀、農村から都市への移住を原則認めず、およそ80%の国民は農村に暮らしていた。
 
改革開放が開始された70代央から今日の都市化までの激変は迅速かつ未曾有のものとなった。この間の人口は国家統計局の数字を使えば9億6300万人から13億2100万人へ躍進。農村人口は7億2800万人に減り都市人口は5億9400万人に増加した。
 
ここに季節による移動人口がある。都会へ出稼ぎに出る農民は、本籍地に勘定されているが、都市へ流れ込みとくに沿海部には住み着いて離れない旧農民が夥しい。
国内移民は1982年に657万人だった。それでもやれ農民潮だの民工潮だのと下がれたが、1990年に2135万、95年には一億22990万人に急増し、2005年には農村から都市部へでた移民は1億2000万人に達した。
2010年末推計で一億4735万人になった。都市戸籍の二割が出稼ぎ住民ということである。
▼人口百万を超える都市が83もある! 一千万超は六都市だ!
 
ならば都市はいかに膨張したか?2007年に中国の都市は655市となって、78年から462都市が増えた。行政区分により『町」と分類される箇所が19249.同期間で八倍である。
百万から二百万人口の都市が83市ある。 このうち36は人口二百万、うち20が500万都市、そして1000万人口を抱えるのは北京、上海、天津、重慶の四大特別市に加えて深せん、広州の六つ。
なかでも経済特区の指定を受けた深浅は1978年にようやく31万人だったが、いまでは軽く1000万人を突破している。
この趨勢で都市化が進むとすれば、中国の都市人口は2015年に60%、2030年に70%の国民が都市部に居住する計算になる。
つまり「2030年に中国の都市部人口は十億人を越える」(ジェイムズタウン財団発行『チャイナブリーフ』、08年12月19日)
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(読者の声1)昨年『Time』誌でも取上げられたようにコプト教徒の窮状が話題に成っています。この問題には人間の本性とでも言うべき嫉妬心がそのままあるいは裏返しとなって綴り込まれて複雑な様相を呈しています。
エジプトでのキリスト教の伝道は、イエス死後程なくキリスト教徒たちが移住してきたときから始まります。しかも、コンスタンチヌス皇帝の時代ともなれば、正に大手を振ってキリスト教を信仰することができるようになりました。
おそらく元からのエジプト人たちの間にもキリスト教がひろまったことでしょう。エジプトがローマに併合されることにより、エジプトという国家の自立性が崩壊し、南の方に住んでいたアフリカ人達がローマ領エジプトに流入してきてそこでの下層階級を形成しました。
そこにサラセンがイスラム教を伴って侵入してきました。かれら下層階級の者達にとって、元から居たエジプト人コプト教徒と地位を逆転させる絶好の機会でした。
そこで、イスラム教徒となり、言語もアラビア語をしゃべるようになり、元からのアラブ民族のように振舞うようになりました。
かれら成りすましアラブ系エジプト人の劣等感と嫉妬がコプト教徒への蔑視と差別の根底にあるのです。しかもイスラムの教えによれば同じく経典の民であるキリスト教徒の信仰を尊重せざるを得ません。
これが意識的にも無意識的にも彼らのねじれた心の元となっています。
さらに言えば、私はユダヤ人は元々は古代エジプト人で一神教を信じていた一群の人たちで迫害を避けるためにパレスチナに移動したと考えています。つまり、エジプトに捕囚されたユダヤ人が先祖の土地に戻ったのではなく、出エジプト記以前の旧約聖書は後智恵の嘘っぱちであると考えています。
おそらく当時、古代エジプトとライバル関係にあったバビリニアの保護を受けるためだったのでしょう。古代ユダヤ人が使っていたアラム語が古代エジプト語と近縁関係にあるのもこのためです。
ヘブライ語が古代に旧約聖書の記述だけに使われ日常語として使われなかったのも、子音だけで母音を抜いて記述すると言う表記法も、ヘブライ語がユダヤ人の出自を隠すための人工語であることを隠蔽するためであると考えています。
現代ユダヤ人の聖書学者であるサバ兄弟も同様の見解です。より正確にいえば、サバ兄弟の説に私見を加えたものが上記です。アラム語もヘブライ語に古代ギリシャ語が影響を与えてできたものではなく、古代エジプト語に古代ギリシャ語が影響を与えてできたものでしょう。
何故なら彼らは、古代エジプト人の子孫だからです。以上が正しいか判定することは簡単です。古代エジプトのミイラとコプト人と古代ユダヤ人の子孫であると言われているセファラディと現代エジプト人とナイル上流の人たちの遺伝子を比較解析することです。
ただしエジプト政府は容易にこの研究を容認しないでしょう。自分たちが軽蔑しているスーダン等ナイル上流の人たちと自分たちの先祖が同じで、イスラム教とアラビア語を身に付けてエジプト人に成りすまし、主人顔をしているなどとは絶対に認めたくないからです。
そんなことを認めるエジプト人がいたら、竹島は日本領だと主張した韓国人女性の学者が自宅軟禁状態になっている程度のことでは到底治まらないからです。(ST生、千葉)
(宮崎正弘のコメント)TIME当該誌、うっかり見落としました。探して読んでみます。
杜父魚文庫

コメント

  1. 興味深いです。

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