7051 財政規律派の与謝野氏と藤井氏 古沢襄

第二次菅改造内閣で与謝野馨氏と藤井裕久氏が注目を浴びているという。ともに財政規律派、消費税の増税に積極的である。藤井氏は鳩山内閣の成立時に官邸に入り、首相補佐官として鳩山氏を支えることを希望している。財務相には岡田克也氏を推薦したが、鳩山人事では藤井財務相、岡田外相の布陣となったいきさつがある。
藤井氏と岡田氏は自民党の旧田中派時代から旧知の仲。ともに小沢一郎氏を支えてきたが、反小沢に転じた経歴を持つ。藤井氏の岡田氏に対する信頼は厚い。第二次改造内閣で藤井氏が格下とも思える官房副長官を引き受けたのは、鳩山人事の際の藤井氏の希望と重ね合わせて考えると首尾一貫している。
その心は自分がすでに高齢で病みあがりなことから、ポストのことよりも大蔵省出身者として培ってきた財政論を民主党政権の裏方で推進する側に回ることにある。その意味では与謝野・藤井両氏は財政再建の両輪ともいえる。
菅首相が参院選で消費税の増税を突如、口にしたのは、多分に不純な動機?があったと言っていい。マニュフェストで約束した政策を実現しようとしたら、財源不足で立ち往生せざるを得なかった。そのために消費税の増税が必要になったのである。
しかしマニュフェストの公約実施で予算のバラ撒きをしながら、消費税の増税というのは、まさに不純な動機と言われても仕方ない。参院選で民主党が惨敗した理由のひとつは、ここにある。
財政規律派の二人の政治家の登場は、必然的にマニュフェストの見直しに踏み込まざるを得ない。そのうえで安定した国民福祉の実現のために福祉目的税化した消費税の増税という道筋を描くことになる。これは言うのは簡単だが、実現するのにはかなりのエネルギーが必要になる。
菅改造内閣には、もうひとつの不安要素が内在している。十数年間の野党暮らしで対決型が身についてしまったから、菅首相、仙谷前官房長官らは排除の論理と姿勢が強すぎる。だが、政権与党になると対決型や排除の姿勢だけでは政権維持が難しい。対決よりも対話の姿勢が政権与党には強く求められる。
与謝野氏や藤井氏は自民党政権時代の経験から、迂遠といわれても対話型、説得型の政治手法をとるだろう。これが民主党内で弱腰と批判されはしないか。
さらには、海千、山千の小沢一郎氏の出方が不気味である。仮説だが、”脱小沢”で一致してきた民主党の主流派態勢が、内閣改造・党役員人事をめぐって不協和音が生じている気配を見逃すわけがない。ここは思い切って、先手を打って単独離党し、小沢切りの目標を消してしまう捨て身の戦法を考えても不思議でない。
小沢氏は菅政権が三月から四月にかけて、立ちいかなく事態を見据えている。四月の統一地方選で民主党が苦戦すれば、地方の「菅離れ」が加速する可能性が出てくる。党内に小沢氏がとどまれば、主流派は対小沢で一致する可能性が高い。老練な政治家である小沢氏は、いくつかのシュミレーションを想定しているのだろう。
杜父魚文庫

コメント

  1. 今日は~
    ^^またブログ覗かせていただきました
    よろしくお願いします

  2. 柴わんわん より:

    二大政党制が全く理解できていないのか、連立話が話題になる度、一刻も早く挙国一致体制を築いて欲しいと期待してしまう私は、大方の世論と違い今回の与謝野大臣の就任も大いに期待しています。
    福田元総理は後期高齢者医療で叩かれている時「世代間の公平な分担は重要」と一歩も引かれませんでした。それが、収めても一円も返ってこないといわれる世代に属する私には有り難い姿勢と思えました。
    伊吹財務大臣は「自分が半世紀ほど前大蔵省に入省したときに現在の社会保障システムが出来たが、その時の平均寿命は67歳位だった。現在では満額納めても最初の7・8年で自分が治めた額は使い切っている。安定財源を確保すべし」と会見されていた記憶があります。
    社会保障は、二代政党どちらが担っても、国民の生活を守るという意味でも財源の規模という意味でも最重要政策だと思います。
    アメリカでも、アフガン対テロ戦争は選挙戦最重要争点だったにも拘らず、戦争継続中ということで、ゲーツ国防長官が党派を越えて再任されたという例もあります。日本でも、社会保障や防衛は継続的体制が執られて然るべくと思います。
    暫定定率や日銀同意人事で政治テロをおこしバカバカしいマニュフェストで政権を騙し取った民主党に助け舟を出したくない気持ちは分かりますが、ねじれているのは参議院なので、解散を迫って対決ばかりしているうちに国が破綻してしまわないか不安です。森元総理や安倍元総理が時折、「政策と期間を限定して大連立」と言われるのは総理経験者としての懸念のなせる事だと理解しています。
    大道廃れて仁義有り
    智慧出でて大偽有り
    六親和せずして孝慈有り
    国家混乱して忠臣有り
    最近、様々な世情に触れる度この漢詩が浮かびます。

  3. 佐藤生 より:

    << 財政規律派の与謝野氏と藤井氏 >>
    これが、「SELECTED ENTRIES」に挙げられていますので、今更ながらの論点ではありますが・・
    このデフレ・スパイラルの現況下では、「増税」など問題外です。
    アメリカ・中国などと同様に、「万札」を増刷すべきです。
    いわゆる「政府発行通貨」という正当な政策で、復興財源・GDPアップの原資を捻出すべきです。
    「与謝野氏と藤井氏」、黴の生えた経済理念の信奉者。
    ヤレヤレです。

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