7083 中国に媚びる日本財界と似た米財界 宮崎正弘

ならず者が支配する中国のレアアース新鉱山地区。無法地帯でマフィアが暗躍、胡錦濤は米中首脳会談でレアアースに言及せず。
日本がハイブリッドカーの原料、ならびにスマートフォンの部品材料としてほぼ全量を依存するレアアースは中国・内蒙古省の包頭(パォトウ)近辺で産出する。レアアースは十七品目があり、永久磁石としてハイテクに用いられる。
内蒙古のレアアースは「団派」の利権とされ、厳格に管理されているとはいえ、強盗団が倉庫を襲い、レアアースを盗み出す事件も発生している。
他方、放射性物質を多量に含まないレアアースの産地がある。江西省と広東省の省境に拡がる山脈。ここは当局の管理が及ばない山岳地、無法地帯。このあたりのレアアースはおそらく磁性が少ないためだろうが、ガラス産業と石油精製の過程で重要な役割を果たす。米国が多くを輸入する。
山西省の石炭はヤクザ、マフィア、温州資本家が入り乱れての乱獲が行われている。炭鉱事故は毎年3000-8000人の犠牲を出すが、補償はいい加減であり、ヤクザが遺族の口封じ、経営者は新聞記者を買収して記事にさせないなど、かなりやりたい放題。
中央政府は管理の梃子入れを始めているが、マフィアと地元の共産党幹部が癒着しているので、改善は遅々として進まない。
米国が俄然、重視し始めたのは江西省、広東省の省境のレアアース鉱脈である。この地で算出されるレアアースが、クリーン・エネルギー産業に欠かせない原材料であることが確認されたからだ。
▼WTOに明らかに違反しているのだが。。
江西省の最西端から南部にかけて、その周辺に十一の鉱区が発見され、その多くが地元のマフィアが「レアアースシンジケートを組織して、中央政府や国有企業の介入を防いで、さかんに乱獲が行われているという(ヘラルドトリビューン、1月21日)。
そこで中央政府は、鉱山の開発権を入札すると発表したが、1月4日に予定された入札は延期となった。米国は静かに、しかし強く胡錦濤政権に国際入札を要請してきたが、米中共同声明のなかにはレアアースの言及がない。中国は国際入札を拒否したのだ。
レアアースの輸出制限、国際入札拒否などはあきらかにWTO違反である。
 
広東省北西部から江西省南部にかけて、山を削り崖地を強い酸、硫黄で溶かすなど土壌をメチャクチャにしながらの採掘方法が問題化したのは下流域に酸性水が流れ出し、生活用水ばかりか工業用水にも使えなくなったからだ。
また航空産業に必要とされるチタン系のレアアースは四川省に鉱山が確認され、こちらのほうは国家管理がなされている様子という。
レアアース問題は日本よりも深刻に米国産業界喫緊の問題であることが浮上した。
  
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  ●読者の声 どくしゃのこえ DOKUSHANOKOE 読者の声●
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(読者の声)米中首脳会談の記事が日本のマスコミを覆っていますが、オバマと胡主席がにこにこ笑っている写真ばかりで、場外のチベット人や人権派のおおきなデモのことが報じられていませんね。(TY生、在米)
(宮崎正弘のコメント)ワシントンでは「劉暁波を釈放せよ」「チベット独立」などのプラカードを掲げて数千のデモが行われている。しかもチベット国旗が林立しています。
 http://english.aljazeera.net/news/americas/2011/01/201112019115214393.html
上は中東アルジャジーラですが、胡オバマ会談より、チベットのデモ隊のほうが紙面では大きい。FoxNewsなども米国では大きく報道しています。しかしネット上ではNYタイムズ、ワシントンポストには晩餐会の写真ばかりですね。
さて日本は産経以外、どうでしょう? どなたか日本の新聞を全紙読んでいる方、教えて下さい。産経は都内版十五面にホワイトハウス前のチベットの抗議デモがカラー写真で配信され、「チベットに自由を」「チベットは中国の一部ではない」「胡錦濤は失敗した指導者」「中国共産党は死んだ」などと書かれているのが読めます。
実際に胡訪米はひややかに歓迎、上下両院議長は晩餐会欠席という異常事態でした。ビジネス界だけは華やかで、キッシンジャーらニコニコと司会をして胡錦濤を迎え入れ、これじゃ中国に媚びる日本の財界との会合と変わりない印象です。 
 
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 ●毎日一行● ヨサノ入閣の狙いは消費税。菅首相は六月解散を念頭に入れたようだ
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杜父魚文庫

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