今朝、七時前から泉北高速の栂美木多駅で、一月最後の「朝立ち」をした。その時、一人の人が近づいてきて、「中国、ロシアになめられてるがな、空母、持たなあかんで、空母、持ちや!なあ!」と僕に言った。
僕は、「その通り、持たなあかん、頑張りましょう」と答えて、その人の後ろ姿を見送った。すると、昨日の、総理大臣である菅氏の「所信表明演説」を思い起こした。
そうだった、そういえば、昨日、菅が演説してたなー、と。そして、思った。総理大臣が如何に抽象的な長時間の演説しようとも、この「空母を持たなあかん」と言い残して勤めに行くために立ち去っていった方の、この一言に遙かに及ばない、と。
総理大臣に、国家防衛のこの具体的な問題意識がないのならば、以後、政治家として何を語らしても空虚であり有害である。国家のために、この者に発言の機会を与えてはいけないと思う。その理由を、以下に述べたい。
まずはじめに、前提として、我が国の政権、とりわけ民主党政権の頭の中に、中国の行動の全体像が入っていない。
中国は、西から、インド洋の覇権を握ろうとしている。そして、マラッカ海峡から東の南シナ海を「中国の海」として完全に制圧しようとしている。さらに、東シナ海と西太平洋、つまり、我が国の周辺海域における覇権獲得を目指している。
中国は、西におけるこの戦略を実現するために、インドを牽制する必要があり、その為にパキスタンに核とミサイルを供与した。また、東においてはアメリカと日本を念頭に置いて、朝鮮半島の北朝鮮を管理下に置いて核とミサイルを容認している。
このように、経済で自信をつけた中国は、インド洋から東シナ海にかけて攻勢を強めている。従って、我が国は、この中国の覇権に対抗する国際的枠組みの一員であるという自覚を持たねばならない。さらに、当然のことであるが、インド洋や南シナ海の事態を東シナ海に連動するものとして注意を怠ってはならないのだ。しかるに、鳩山そして菅内閣には、この国際的視野が欠落している。
そもそも昨年九月の中国の尖閣における攻勢を呼び込んだのは誰か。それは、中国の我が国から離れたところで為されている国際的な動きに対する我が国の無関心である。
我が国のシーレーンは、インド洋を経て中東までつながっているからシーレーンなのである。従って、シーレーンが、東シナ海で扼されても、インド洋や南シナ海で扼されても等しく我が国存立に対する脅威となりうる。
しかるに、我が国政治と総理の頭にはシーレーン防衛の発想がない。今朝、「空母、持たなあかんで」と私に言った人にはその発想がある。
我が国の「防衛白書」を見ると、中国海軍の行動に関して、台湾以北の「東シナ海」におけるものは図示されている。しかし、それ以南は説明がない。つまり、「防衛白書」に、シーレーン防衛の発想がないのである。
そこで、中国の西方における動きを見る。中国は、パキスタンに対する核とミサイルの援助、さらにミャンマーへの露骨な南下によりインド洋制圧に乗り出している。そして、南シナ海の島々・島嶼を武力制圧して、そこを「俺様の海じゃ」と言い始めた。つまり、南シナ海は中国様の許可がなければ航行できない海だと言ったのである。
国際社会は、これを黙ってみていたのか。無関心なのは、鳩山・菅政権だけだ。ASEAN諸国とアメリカは重大な脅威であると対抗する姿勢を示し始めた。
昨年四月、アメリカのゲーツ国防長官は、シンガポールで、「アメリカはアジアに帰ってきた」と演説し、七月にはクリントン国務長官がハノイで、「南シナ海の航行の自由は、アメリカの国益だ」と演説し、中国の「南シナ海は俺様の海」という覇権を否定したのである。
この時、我が国政府は如何に反応すべきであったのか。我が国のシーレーンの問題としてアメリカ以上に、「南シナ海の航行の自由は日本の国益だ」と確認してアメリカとの共同歩調を表明すべきであった。
しかし、ゲーツ演説の時は、頭空っぽの「友愛の海」の馬鹿が我が国の首相。クリントン演説の時には、訳の分からん最小不幸社会を提唱する左翼が我が国の首相。共に、全く反応しなかった。
この我が国の無能内閣総理大臣の無反応を観察していた中国共産党は、牧場は招く、という歌の文句のように、これはチャンスだ「尖閣は招くよ」、「菅の無能は招くよ」とばかり、九月、尖閣に攻勢をかけてきたのだ。
さらに、日本の総理の無能ぶりを観察していたのは中国ばかりではなく、ロシアだ。管総理と内閣の、尖閣における中国への屈服を見て、ロシアのメドベージェフが、「よし、俺もやる」と択捉島に侵入してきた。
この中国とロシアの連動は、「火事場泥棒」の連鎖である。歴史を振り返れば、中国とロシアは、「火事場泥棒のプロ国家」である。
そして、この度の中国とロシアの行動は、鳩山と菅という無能の首相が招いた泥棒行為であるといえる。
その菅という総理が、昨日、己の無能が中国とロシアから「火事場」扱いされているのに、それと知らずに、抽象的な演説を国会でしていたという次第であった。
この者に、これ以上、無内容な演説を続けさせれば、さらに如何なる「火事場泥棒」を呼び込むか分からない。もう演説させるべきではない。
それ故、本日の早朝、出勤する方からの、「空母、持たなあかんで」という言葉が、政府と総理の無能にかかわらず、やはり日本復元の近いことを示してくれるようでありがたかったのだ。
なお、今朝の「朝立ち」で、もう一つの収穫があった。それは、なるほど、中国人と日本人は違うなー、という実話である。
朝立ちを終えてから、共にビラを配ってくれていた同志が言った。「やっぱり、中国人は異常ですよ。僕の子供(小学生)に中国人の同級生がいる。その中国人といたときに、息子のズボンのポケットから五〇〇円玉がでてきた。」
それからの彼の息子と中国人の同級生との会話は次の通り。「あれ、五〇〇円でてきた、何で入っていたんやろ」「その五〇〇円、僕のもんや」「なんでや」「自転車の修繕に五〇〇円いるからや」「おまえは、アホか」
中国人は、中国共産党のトップから日本にいる小学生の人民まで、同じだ。従って、日本人の対応も、この友人の息子のように同じでなければならない。
「尖閣は、中国のものや」と言ってきたら、「おまえは、アホか」で片付ける。それ以外の説明はいらない。
あとは、獲りに来たらやっつけるだけだ。だから、空母、つまり軍備がいるんだ。菅さんよ、「所信表明」をする前に、小学生に聞くべきだったな。
杜父魚文庫
7108 空母、持たなあかんで 西村眞悟

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